冒頭で見知らぬ人に声をかけられても…と書いたものの、誌面編集をしていた時には占いの連載ページを担当していただけに、占い自体は好き。ゲッターズ飯田氏もぷりあでぃす玲奈氏も占っていただいたことはないものの、当然すごい人であることは知っていた。
だが、今回映像を見て一番驚いたのは木下レオン氏。見た目は前述の通り、深夜のテレビショッピングの実演販売士(※個人の感想です)なのだが、実際に彼の占うシーンを見てみると、どちらともとれる“それっぽい”ことを言ってお茶を濁すのではなく、何事もはっきりビシッと“結果”や「別れた方がいいよ」「やめた方がいい」「それは難しい」などと方向性を示す潔さが素晴らしい。
「~でしょう。~かもよ?」ではなく、「~だよ」「絶対~です」という断定形の心強さと恐ろしさ。あるいは、恋しさとせつなさと…自粛。
それに女性同士のグループで居酒屋に集う人は大体占い好きだから(偏見)まだしも、付き合いたてのカップルにもグイグイ行き、それも容赦なく過去の異性について掘り下げるところとか、最高じゃないか。第三者として見たら大好物でしかない。
もちろん“レジェンド”のゲッターズ飯田氏も占いがズバズバ的確だし、優しい口調ながら力強く道しるべを示し、スタジオの水野もボソッと言っていたが「カウンセラーみたい」。
たとえ占いが当たっていなかったとしても、これなら自ら今後の“人生を占う”意味でも希望が持てるな、というところまで落とし込んでくれる。
ぷりあでぃす玲奈氏も2人とは違った雰囲気で、妙に親近感があるというか、親しみやすいというか。友達に愚痴を言うくらいのノリで全部丸裸にされそう。豪華な占い師たちの三者三様の占いが見られるのもぜいたくだ。
それに、この番組のすてきなところは、一期一会で占った場面を見せるだけでなく、それから約1カ月後、さらにその後(特番の人)のVTRまで撮って、きちんとどうなったかの報告までしているところ。突然現れて占って「あとは知~らない!」じゃないのがいい。
そしてスタジオの幸運見届け人たち。いずれも美男美女俳優ながら個性強めな沢村一樹、水野美紀の“バラエティーのお約束”なんて知ったこっちゃない本当の意味でのフリートーク、そしてお笑い芸人からも一目置かれるみちょぱ姐さん(池田美優)の安定感とツッコミの鋭さ。
一見、正三角形ではない凸凹トライアングルっぽい3人なのだが、お互いの不得意そうな部分、優れた部分を絶妙に補完し合っている感があり、変に番組側の意見に終始して忖度することなく、視聴者と近い目線でVTRを見てくれているのがとても好感。
「ダメダメ(占われるのを)断って!」とか「それ聞いちゃダメ!」とか「なんでそこまで分かるの?」とか、完全に視聴者目線でわちゃわちゃしているのが見ていて心地いい。
占いがズバズバ当たるすごさを見るというのもこういった占い番組の醍醐味(だいごみ)であることは言うまでもないが、当たり外れとか表面的な部分だけを楽しむのではなく、3人のようにちょっとだけ他人の人生に感情移入する時間を味わうのもいいんじゃないかな。
そんなことを思わされた、2時間だった。
占い師たちは決して甘いだけの言葉は吐かず、良いことも悪いことも遠慮なく予言するのだが、「過去は未来の敵だ」(by TPD)じゃないけど、たとえ悪い運勢だったとしても乗り越えられるんじゃないか、とすら思わせてくれる、不思議なパワーを与えてくれそうな強い言葉の数々も同時に与えてくれる。
ある意味、パワースポットを訪れるより、見るだけで効果がありそうな新しいタイプの占い番組だ。
さて、私も闇の期間が長いし、あまりにもモテない人生を歩いてきたので、強い言葉が欲しい。いつか木下レオン氏に取材と称して占ってもらえたらいいな。
その時はお酒を片手にこう言おう。
「突然ですが占ってもらってもいいですか?」
文=人見知りシャイボーイ
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