「まれ」から10作、毎日朝ドラレビューを書き続けている私がこれまでのアーカイブを振り返ってみると、1、2週は導入部でちょっと様子見、3週から本格始動、ドラマのカラーがはっきりしてくる大事な部分になっているのである。
2019年度後期「スカーレット」:主人公・喜美子(戸田恵梨香)が大阪に出稼ぎに出たのが第3週。喜美子がはじめて家庭以外の社会を知る。
2019年度前期「なつぞら」:主人公・なつ(広瀬すず)が成長して、馬に乗って颯爽と登場、牛の難産を救うという大活躍をする。
2018年度後期「まんぷく」:主人公・福子(安藤サクラ)の未来の夫・萬平(長谷川博己)が警察に捕まるという、いきなりダークな展開に。萬平はドラマ中、合計3度も逮捕される、その先駆けとなった。
2018年度前期「半分、青い。」:主人公・鈴愛(永野芽郁)と幼馴染の律(佐藤健)が高校生に成長。幼少期の「小さな恋のメロディ」のようなリリカルな雰囲気から、鈴愛の活発さが目立つように。
2017年度後期「わろてんか」:主人公・てん(葵わかな)と未来の夫・藤吉(松坂桃李)が8年めの再会。
2017年度前期「ひよっこ」:奥茨城で独自の聖火リレーが行われ、主人公・みね子(有村架純)がアンカーをつとめる。これが地元での彼女の一大イベントで、4週から東京に出稼ぎに。舞台転換が一週ズレている。
2016年度後期「べっぴんさん」:主人公・すみれ(芳根京子)が神戸の豪奢な邸宅から戦争で近江に疎開。すぐに戻るが闇市で苦労続き。すみれが仕事で身を立てていくきっかけに。
2016年度前期「とと姉ちゃん」:主人公・常子(高畑充希)は故郷・静岡を離れ東京・深川に向かう。以後、東京が常子の第2の故郷となる。
2015年度後期「あさが来た」:主人公・あさ(波留)が新次郎(玉木宏)と結婚。新婚生活を描く。
2015年度前期「まれ」:主人公・希(まれ/土屋太鳳)が高校卒業の記念にケーキを作り、パティシエの夢を強くする。が、4週ではいったん市役所に就職する。
……と5年分、振り返ってみると、子役から大人へ。学生から社会人へ。地元から別の場所へ。と何かと変化が起こるのが第3週である。「ひよっこ」と「まれ」は新生活編が4週にずれているが、その分、3週で、「ひよっこ」では聖火リレー、「まれ」では同級生・高志が歌を歌い上げるという(黒猫チェルシーの渡辺大知)ちょっとしたイベントごとが用意されている。
1、2週は前述したように、導入部として背景や登場人物を紹介、主人公の幼少期を描くことに使用され、3週めでようやくドラマが動き出し、作品世界に引き込む重要なフックになるのである。だからこそ派手な見せ場があったほうが続きに期待できる。
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