例えば、この10作で成功しているのが「あさが来た」である。あさと新次郎の甘く、でもコミカルな夫婦生活を描き(お姫様抱っこもあり)、これが最終回まで視聴者を牽引していった。「まんぷく」も萬平が無茶をして福子が献身するというパターンを3週で印象づけた。
2作とも視聴率的にも人気的にも高い作品、3週でひとつのパターンを作り上げることが成功の鍵といえるかもしれないと思うと、2013年度前期の「あまちゃん」も第3週でノリを決定づけている。
3週めでは、主人公アキ(能年玲奈/現のん)が東京から北三陸高校に転入し新たな生活を送り始める。宮藤官九郎が“朝ドラ”を書くということで注目されてはじまった1、2週は確かにこれまでの“朝ドラ”とは違って笑いの分量が多かった。
さらに3週めになると、アキの親友ユイ(橋本愛)の兄ヒロシ(小池徹平)が「ヒロシです」のBGMを背負って登場。このやさぐれキャラが強烈で「あまちゃん」の異色さを完璧に印象づけたうえ、アキやユイの今後に重要な役割を果たす。1、2週はチーフ演出家の井上剛で、3週は「エール」のチーフ演出家・吉田照幸が担当した。
「エール」の第3週も吉田演出。3週目が今後の流れを作る重要な週になるか今後を見守りたい。いずれにしても、朝ドラは3週めを見ると、面白くなりそうかどうか占えるのである。(文・木俣冬)
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