この作品の明暗は周平役で決まると考えていました。周平と同じ年頃の数多くの役者さんにオーディションでお逢いしましたがイメージに合う方がおらず、最後に飛び込みで「演技経験はない新人ですが」と言われてお会いしたのが奥平さんでした。彼は演技未経験ではありましたがとても深く脚本と役柄を理解しており、その感性にすごく驚かされたのを覚えています。周平役には、16-17 歳という少年期の危うさと繊細さ、そして主人公の母親を支える包容力が必要だと考えていたので、はじめてオーディションでお会いした時、彼しかいないと確信しました。現場でも撮影を重ねるごとに良くなり多くの奇跡的なシーンを撮影する事が出来たと思いますし、まるで奥平大兼の役者としての成長をドキュメントで観ている様でした。
「MOTHER―」は、実際に起きた“少年による祖父母殺害事件”をベースに、日本アカデミー賞(主要部門)三冠の「新聞記者」(2019年)を手掛けた映画会社スターンズが映画化。映画「日日是好日」(2018年)の大森立嗣監督がメガホンをとった。
男たちとゆきずりの関係を持ち、その場しのぎで生きてきたシングルマザー・秋子は、実の息子・周平に奇妙な執着を見せてきた。母からの歪んだ愛情しか知らない周平にはほかに頼るものはなく、翻ろうされながらも応えようとする。身内からも絶縁され、次第に社会から孤立していく2人。その中で生まれた“絆”が、17歳になった周平を祖父母殺害へと向かわせる――というストーリーが展開する。長澤、阿部、奥平のほか、夏帆、皆川猿時、仲野太賀、木野花が脇を固める。
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