南條愛乃、新曲を「一文字ずつ書くような気持ちで丁寧に歌った」【シングル「藪の中のジンテーゼ」インタビュー】

2020/04/29 11:00 配信

音楽 インタビュー

『ラブライブ!』絢瀬絵里 役など数多くの作品に出演する声優・南條愛乃


南條愛乃が、アニメ『文豪とアルケミスト 〜審判ノ歯車〜』のEDテーマを表題にした通算10枚目のシングル「藪の中のジンテーゼ」をリリースした。作詞を原作の世界観監修を務めるイシイジロウ、作曲とアレンジを9thシングル「サヨナラの惑星」など、“グリザイア”シリーズの楽曲を手がけるElements Gardenの藤間仁が担当。「日本文学、まったく通ってない」と笑う彼女はどんなアプローチで挑んだのか。そして、南條が作詞したカップリング収録のウエディングソングの真相とは!?

誰かに憧れて、でも届かなくて、その距離感に絶望したことはある


●まず、楽曲を受け取ってどんな印象を受けましたか。

作曲と編曲が“グリザイア”シリーズと同じ藤間さんなので、どう変化をつけてくるかなっていうのがすごい楽しみだったんですけど、ガラッと世界観が変わってて。めっちゃ大人だなって思いましたし、どう歌っていいのかわからないなっていうのが第一印象でしたね。作詞は私が新人時代にアニメ『CANAAN』(2009年)でご一緒したイシイジロウさんで、まさかこういう形でまたご一緒できると思ってなかったので、すごく嬉しくて。当時も原作のゲーム『428〜封鎖された渋谷で〜』をやらせてもらって、すごく面白いなと思っていたので、今回もイシイさんの歌詞にどういうギミックが盛り込まれてるのかなっていうのが楽しみでしたね。

●歌詞はどう捉えました?

イシイさんに作詞の意図を伺ったんですけど、太宰治と芥川龍之介のストーリーになってるんですね。サビに出てくる一節も「人間失格」のオマージュになってたりするし、モチーフ的に入水自殺した二人をほのめかすフレーズもあって。すごく細かく説明してくださったんですけど、聞いてよかったなって思いました。私、あんまり文学史に詳しくないので……きっと聞いてなかったら、バカが歌うスカスカな歌になってしまうところだったなと思って。危ないところでした。この曲のインタビュー、毎回話せば話すほど、台無し感が半端ないですね(笑)。

●アハハハ。日本文学にハマったりしたことは?

なかったですね。学校の教科書で触れたくらいなので、「走れメロス」くらいしか知らないっす。

●(笑)。哲学的で難解な言い回しが多いですよね。

そうですね。でも、箇所箇所で、共感できる部分はあって。すごく文学的に書いてあるから、文学的に共感って考えるとすごい難しいんですけど、例えば、“君を求め / 僕は奈落に落ちていく”とか。こんなおしゃれな体験をしたことないですけど(笑)、誰かに憧れて、でも届かなくて、その距離感に絶望したことはある。文学的ではなく、もっと個人的な視点で見た時に、気持ち的には共感できるかなっていう部分を引っ張り出して。「苦しいよ」とか「切ないよ」とか、シンプルな気持ちを持ってレコーディングしましたね。

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