――特別賞を子供時代のみきおを演じた柴崎楓雅くんが受賞しました。共演はどうでしたか?
楓雅くんは人懐っこい男の子で好奇心旺盛。最初から仲良くなれました。「これってどうやったらいいんですか」と素直に聞いてくれるので、現場ですぐにコミュニケーションがとれて。みきおは、キャラクターそのものが普通ではないじゃないですか。その特殊さについて監督が熱心にディレクションすると、楓雅くんの演技が分かりやすく変わる。
すごく才能のある子だけれど、このドラマでその才能がみなさんに一気に伝わったと思います。これからどうなっちゃうんだろうと思うと、すごい楽しみですよね。クランクアップしてからは会えていないけれど、彼の4月の誕生日にはメッセージを送りました。
――脚本賞、監督賞も「テセウスの船」が受賞しました。スタッフに助けられたのはどんなところですか。
僕が苦悩しているとき、3人の監督さんが共にとことん考えてくださり助かりました。僕にとっても日曜劇場は4回目でしたが、今回は主人公だったので、その分、最後までどうやって心情をつなげたらいいのか、すごく悩みましたし。
心はタイムスリップを何度も繰り返してひとりで他の人の何倍もいろんな景色を見ている。その分、最終回が近づくにつれ、いろんなことが頭をよぎって、心という人間をどう表現するのが一番いいのかわからなくなりました。そこを監督さんたちに助けていただき、無事に乗り越えることができました。
――竹内さんが「テセウスの船」で得たものは何ですか?
連続ドラマを10話分作るのはもちろん大変な労力で。でも、さらに、スタッフとキャスト全員が同じ方向を向き「何が正解なのか」ということを突き詰めて考え、本当に1話ごとに全力を尽くさないと、視聴者の方に熱量を届けるのが難しいんだなと感じました。僕はこれからもその現場ごとにまた悩むだろうけれど、日曜劇場の主演という現場をやり遂げられたことは大きな自信になりました。
それだけではなく、終わってから振り返ると「あのときこうやっておけばよかったかも」という反省も正直あります。そういう思いは次の作品に活かしていきたいです。僕の仕事は、そういうことの繰り返しなのかな…。「テセウスの船」はとにかく全力でやっていたのですが、その疲れはクランクアップ後、2週間ぐらい遅れて出てきました。目の下のクマが取れなくて、髪の毛にもコシがなくなってしまって…。こういうのって時間差で来るんだなぁと思いました(笑)。
取材・文=小田慶子
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