「エール」で大注目の仲里依紗 “おもしろい”の裏に隠された多才さと人間観察力

2020/05/23 08:05 配信

ドラマ

人間の悲喜劇をつぶさに観察し再現できる才能


「エール」第32回場面写真 (C)NHK


エール」のチーフ演出家で脚本も一部手掛ける吉田照幸の演出作「富士ファミリー」で、仲が演じた吉岡秀隆演じる男性とラブラブ(「もっとマヨマヨ〜」とマヨネーズをかける)の恋人役(「富士ファミリー2017」ではできちゃった結婚する)もハマっていたし、同じく吉田演出の横溝正史ミステリー「獄門島」は、ヒロイン早苗をミステリアスさも醸しながら、強く賢い人物として演じていた。同じ演出家作でも、幅広い振り幅を発揮しているのである。

エール」ではその多才さをうまく活用し、恵とは、あっけらかんとした女性なのか、はたまたたくさんの顔を持つ業の深い女性なのか、つかみどころのない魅力を生み出すことに成功したといえるだろう。

デビュー時の仲里依紗は、多くの女優がそうであるようにハツラツとしたキュートさを売りにしていた印象があるが、年齢を経てエキセントリックな役もハマるようになってきた。

「あなたのことはそれほど」(TBS系)や「ホリデイラブ」(テレビ朝日)などで演じた、夫に浮気され精神不安定になっていくような役をはじめとして、薄幸の女性役が似合うようになってきている。

最近も、「美食探偵 明智五郎」(日本テレビ系)でも平凡な妻が夫を惨殺してしまうという役割を演じていた。薄幸がリアル過ぎると見ていて辛くなってしまうが、うまいことエンタメに落とし込むさじ加減の匠なのである。

現在、YouTube内の仲里依紗公式動画チャンネル「仲里依紗です。」で配信している動画シリーズは、自宅から料理やメイク姿を見せる飾らない内容が多いが(宅急便が来ることもしばしば)、そのひとつ「とってもつまらないモーニングルーティン」という回に、それこそが仲里依紗の演技のうまさの秘密が隠されているように思う。

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