――第13週では、久志の子ども時代も描かれています。台本を読んだ時はどうお感じになりましたか?
子ども時代の久志は、いつも突然現れて、達観したことを口にしたかと思うと、また突然いなくなるというような少年でした。13週では、それだけではない久志の物語が描かれます。両親が離婚したため、実の母親と離れ離れにならざるを得なかったという、彼の悲しい過去が明らかになるんです。そして、そんな久志を救ったのが音楽だということも。13週は、やがて音楽の道を志すことになる久志の原点が垣間見える週でもあります。
「こんな過去があったからこそ、久志は常に明るいんだ」と思えるエピソードで、僕も台本を読みながらちょっと泣けましたね。人は、辛い経験を通じて人の痛みを知るからこそ強くなれるはずです。久志の達観した考え方や常に冷静でいられる強さは、彼にこんな辛く悲しい過去があったからこそ。僕自身、久志をただのキザな奴としてだけでは終わりたくないと思っていただけに、久志の人間的な部分を視聴者の皆さんにも感じてもらえる機会を得て、とてもうれしいです。
――そして、コロンブスレコードの歌手オーディションで、久志と御手洗が火花を散らすという展開ですが…。
御手洗役の古川雄大くんは、ミュージカル界で共に頑張ってきた仲間です。プライベートも含めて長い付き合いがあるので、今回も、2人であれこれ相談しながら収録に臨みました。ぜひ見ていただきたいのは、久志と御手洗が発声練習をする場面ですね。僕たちもアイデアを出しながら収録したシーンなんです。久志と御手洗は、最初別々の部屋で発声練習をしているのですが、そのうち相手の声がしてきて、発声しながら近寄っていく。最後には、まるで剣を構えた侍が対峙するように、両者見合いながら発声を続けるという奇想天外なシーンになっています!
実は久志と御手洗がにらみ合う場面は、古川くんとアドリブを交えながら演じている部分が多いんです。ミュージカルならではの立ち振る舞いを生かすことで、久志と御手洗の個性のぶつかり合いを、より面白い形で表現できたのではないかと思っています。ぜひ見ていただきたいですね。
――改めて、「エール」という作品の魅力を教えてください。
タイトルが示すように、この作品は、見る方に寄り添い、励ましのメッセージを送るようなドラマです。何よりもそこに音楽の力が加わることで、より強いメッセージを届けられる。誰だって音楽は身近にあって、音楽に救われながら生きている人が沢山いると思うんです。ぜひ「エール」という作品から、音楽の力を感じ取っていただきたい。そして大変な今だからこそ、全国の皆さんに見ていただきたい作品ですね。
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