「M―」ではエキセントリックな面が強調されていた礼香。それだけに、スピンオフ最終話で描かれた一途で愛情深い面は印象的で、妙に心に残る。「結局は追っていたいのよ、私」という礼香のつぶやきに共感する女性は多いだろう。
高校時代の礼香を熱演してきた中川は、礼香について「悪女ではないのでは、と思っていて。正幸くんを愛している、それだけ一途なゆえにそういうこと(狂気)が出てしまうというところでは、一本芯が通った愛がある素敵な女性なんじゃないかなと思います」と分析。正幸を演じた中尾は礼香を「頭がいい人。最後のシーンまで礼香の悪いところは見えない」と称える。
7話後半では、「M―」最終回の2年後、「A VICTORY」の社長となったマサ(三浦)と礼香(田中)の姿も描かれる。
礼香のいきつけのバーを訪れたマサは「結局、俺の心にいつも火をつけてくれてたのは礼香だったかな」とポツリ。「M―」「L―」とさんざん礼香の狂気を目の当たりにした後だけに、マサと礼香の間に垣間見える信頼の絆にふと救われたような気持ちになる。
だが、その後マサに「好きな人ができたんだ」と打ち明ける礼香の表情にはまた、得体の知れない狂気の笑みが浮かんでいた…。本編、スピンオフを通してもまだまだすべてを語り尽くすことのできない女性・姫野礼香、そして、そんなキャラクターを生み出した鈴木おさむ脚本の深淵ぶりにおののくばかりだ。(文=ザテレビジョンドラマ部)
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