今回、田中れいなが演じたのは、ヒロインである料理茶屋の娘・香夜。モーニング娘。のエースとして活躍した彼女はかねてから演技力にも定評があり、グループ在籍時から数えれば、舞台、ミュージカルの出演作数は20を超える。
「剣が君」は、九十九丸たち6人の若者がそれぞれの宿命に立ち向かう物語だ。香夜はその中で彼らを支え、心を癒やし、彼らが生きるための愛しい君になっていく。男性陣の熱量あふれる芝居に対し、田中は女性らしい柔らかさで香夜を表現。個別ストーリーと呼ばれる6人それぞれとのドラマでは、シナリオごとに変わる香夜の感情を細やかに映し、役者としての実力をしっかり見せた。
また、ゲームではエモーショナルな音楽も胸を打つポイントで、舞台でその役を担ったのが田中の歌唱だ。物語を紡ぐ情感豊かな歌声が会場の隅々までを包み込み、劇への感情移入を一層高めてくれるものに。随所でミュージカルさながらに美声が披露され、演出家が寄せる“田中れいなの歌”への信頼が見えるようだった。
2.5次元のほとんどは女性をターゲットにした作品で、観劇者の多くが男性俳優陣の女性ファンであるのが常だ。本作もその例にもれず、田中にとってはある意味アウェーの場だったが、だからこそ初めて聴く彼女の歌の輝きに驚いた方も多いだろう。
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