――人として学ぶべきところ、感銘を受けたところはありましたか?
堀悌吉は、いわば「記録魔」で、とても多くの資料を残しています。山本五十六との書簡もそうですし、学生時代の試験の点数や順位も含め、ありとあらゆる記録が残されています。
「歴史は永久に真実を伝えられないで終わることがあるね」という彼の発言に象徴されるように、後世の者が検証できることを考えていたのではないでしょうか。例えば「統帥権干犯」と反対派からの批判も上がったロンドン軍縮条約の調印に至る経緯を、何ら問題がないことを証明しようとしたかのようにしっかりと書き残しています。
また、主戦論だったのでは?とも言われたことのある山本五十六の真意も書いています。それは、保管されていた山本の手紙からも分かりますが、記録が軽んじられる現代の出来事に照らしても、記録を残しておくことの重要さを堀は教えてくれている気がします。
堀が残したものを見ると、あの時代にどういう空気がこの国を包み、非戦の信念が大きなものに飲み込まれていったのか、が手に取るように分かります。
決して派手なことを好まない堀悌吉ですが、地道に真実の記録を残すことで、後世への伝言としているような気がしてなりません。
――今の日本が堀悌吉、その時代から学べることがあるでしょうか?
現在、世界が一国至上主義に向かい、利己主義に走る傾向があります。実はこの今と同じ状況が、戦争当時にもあったのではないでしょうか。
今に置き換えて考えることができる材料は、過去にはたくさんあり、今が過去を思わせる状況だからこそ、学べることがある。その意味で、もう一度参考とすべき、とても価値の高いものが堀悌吉の考え方や生き方、残したものにあるのではないかとは思います。
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