14人の議員がドミノ辞職。2016年に発覚した富山市議会の腐敗を暴いたメディアの行動と、その後の議会の推移を記録したドキュメンタリー映画「はりぼて」が、8月16日(日)、東京・渋谷のユーロスペースで公開される。
富山のテレビ局「チューリップテレビ」が地方政治の不正の追及に挑む様子を追った映像は、人間のずるさや、だからこその滑稽なさまを赤裸々に映し出す。
有権者に占める自民党員の割合が10年連続日本一である保守王国・富山県。2016年8月、平成に開局した地元ローカル局「チューリップテレビ」のニュース番組が、スクープ報道をした。「自民党会派の富山市議 政務活動費事実と異なる報告」と、実態を暴いたのだ。
当該市議は、「富山市議会のドン」と言われていた自民党の重鎮で、その後、自らの不正を認めて議員を辞職。これを皮切りに議員たちの不正が次々と発覚し、半年の間に14人もの議員が辞職していった。
その反省をもとに、富山市議会は政務活動費の使い方について「全国一厳しい」という条例を制定。だが、3年半が経過した2020年、不正が発覚しても議員たちは辞職せず居座るようになっていた。
記者たちは、議員らを取材する中で、政治家の非常識な姿や人間味のある滑稽さ、“はりぼて”を目のあたりにしていく。しかし、“はりぼて”は記者たちのそばにもあった。
本作は、テレビ番組放送後の議会のさらなる腐敗と議員たちの開き直りともいえるその後を追った政治ドキュメンタリー。あっけなく辞職する議員たちの滑稽な振る舞いは、観る者の笑いを誘う。追及する記者を含め、市民は腐敗した議会や議員を笑うことしかできないのか。ならば、果たして”はりぼて”とは誰なのか? 地方からこの国の在り方をも問い掛ける。
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