吉沢亮＆杉咲花が大学生の屈折した青春を体現！吉沢「挑戦的な役だったと思います」〈青くて痛くて脆い〉

人との距離感をどう取っているのかは、かなり考えました

――演じるうえで気をつけたところを教えてください。

杉咲：先ほども少しお話させていただきましたが、秋好には自分のやりたいことが明確にあって、軸にあるものが絶対にブレないんです。彼女が目指すものを自分なりに考えていくうちに、秋好が言っていることに共感できたので、そこをしっかり表現できればいいなと思いました

吉沢：僕が演じるうえで一番意識していたのは、楓が秋好と一緒に作った“モアイ”をぶっ壊すと宣言してからのコミュニケーション能力でした。人付き合いが苦手で、あまり人と関わらずに生きてきた人間が復讐のために人を利用し、偽りの関係を広げていく際に、どれぐらいのコミュニケーション能力を必要とし、人との距離感をどう取っているのかは、かなり考えました。

――確かに楓が屈折しているところは、人づきあいの苦手さが影響しているのかなと思いました。

吉沢：秋好にも「気持ち悪い」と言われてしまいますからね。しかも、花ちゃんがめちゃくちゃリアルにセリフを言ってくるから、そのインパクトは絶大で。『本当にお芝居だよね？』と思うぐらい、ショックを受けました(笑)。

杉咲：もちろん、お芝居ですよ(笑)。

吉沢：でも、一番言わないであろうと信じていた人から、一番言われたくない言葉をグサッと突き刺すような感じで言われてしまう。あそこに導いたのは楓の自業自得だとはいえ、あのときの楓は誰が見ても痛いと思うだろうし、演じていても複雑な気持ちになりました。

杉咲：あまり人と関わらない人生を過ごしてきた楓だからこそ、秋好のようなポジティブな人間が余計にまぶしく見えたのかなと思います。とはいえ、二人とも不器用なことに変わりないんですけどね(笑)。

――吉沢さんと杉咲さんは映画「BLEACH」(2018年)でも共演されていました。お互いにどのような印象がありますか？

杉咲：最初は人見知りな雰囲気が漂っていて、どのような距離感でいられるのかなと思っていました（笑）。でも、撮影が進むにつれて、いろんなお話をさせていただいたり、スタッフさんたちと一緒に食事に行ったりして、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。

吉沢：花ちゃんも最初は人見知りなのかなと思ったけど、この人は絶対に人を傷つけるようなことはしないんだろうなと感じていました。

杉咲：(笑)。

吉沢：そういう優しさと気遣いがあって、人とちゃんと接してくれる人だなと思いました。一緒にいてすごく安心感があるし、すごいシュールな笑いが好きなんだなという発見もあって。

――今回の現場ではいかがでしたか？

吉沢：もちろんお芝居はすごいですし、花ちゃんが秋好というキャラクターを演じることによって、すごく女性として魅力的に見えるんです。言っている言葉にしても、この人は本当にそう思って発信しているんだというのがリアルに伝わってきて、そういう秋好だからこそ楓も彼女に憧れてたのかなと。花ちゃんが秋好として現場にいてくれたからこそ、僕も楓になれたと思います。

杉咲：私も吉沢さんの楓としての表情に刺激を受けていました。今回は自分で演技プランを考えずに臨んだんですが、吉沢さんが楓としていてくださるから、自分も秋好として現場にいれば必ず感じるものがあると確信していたので、すごく助けていただきました。