――「アンナチュラル」で「女性で何か問題でも」など、ヒロインのミコトに数々の名言を言わせました。本作でも麻生久美子演じる隊長の桔梗が美人だと騒がれて「顔で隊長になっていない」と反論する様なども、女性の共感を呼んでいます。
2年前に書いた「獣になれない私たち」(2018年日本テレビ系)では、女にかわいさや従順さばかりを求める風潮と戦ったんですが、婉曲的な表現では、一部の受け手には気付いてすらもらえなかった。今のテレビでは遠回しに匂わせても、伝わらないんですよね。今回は刑事もので、もっと幅広い人が見るので、ここは開き直って、隊長である桔梗がストレートに言った方がいいと考えました。実際、警察はまだまだ男社会なんですよ。脚本家としては、こうしたことにわざわざ言及する必要がなくなる社会に、日本全体が早くなってほしいです。
――桔梗が指揮権を持った“強い”女性である一方、犯罪の被害者になる“弱い”女性も多いわけで、それが第4話の「ミリオンダラー・ガール」や第9話で麦(黒川智花)が囚われてしまうところに表現されているのではと思いました。
そうですね。みんながみんな、桔梗のように強くいられるわけではない。だけど、手を取り合うことはできるのではないか。第9話のラスト、麦が救急車の中で桔梗に「ありがとう。一緒に戦ってくれて」という場面は、撮りあがった映像が泣けて…。演出の塚原あゆ子さんのエモさがさく裂していましたね。その場面を始め、桔梗役の麻生さんは本当に上手いなと改めて思いました。やりすぎず抑えた感じがいいですよね。
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