ーーそんなふうに世相やネット用語を盛り込むのも野木さんの脚本の特色です。第10話では「web上で探しているページが見つからない」という意味の「Not Found」がサブタイトルになりました。
もはやネットと社会は切り離せない存在なので、自然と入ってしまいます。最近は、たくさんの情報に押し流され、私を含め、みんなが忘れっぽくなっているのが気になっています。例えば政治関連の不祥事もどんどん発覚するけれど、忘れてしまって、いつの間にか“なかったこと”になっている。各話で世間から忘れられたような日陰にいる人を描いてきたのも、本当にそれでいいのだろうかという疑問からです。
社会にある問題は簡単には解決できないことが多いので、正解なんてないけれど、どうしたらいい方向に行けるんだろうかと、私も伊吹や志摩と一緒に悩みながら進んでいる感じ。最後はハッピーエンドとは限りませんが…。「Not Found」かもしれないし(笑)。
――4機捜が久住に勝てる見込みはありませんか?
久住、強いですよね(笑)。久住に対抗するには正攻法では難しく、それでどうなるかはぜひ放送を見てください。隊長の桔梗や401の九重(岡田健史)と陣馬(橋本じゅん)にもそれぞれドラマはあるけれど、最後はやはり404、伊吹と志摩の話になります。
――「アンナチュラル」と「MIU404」の登場人物は同じ世界に生きているということで、このシリーズの第3弾はありますか? 新井Pのお話ですと「野木さんはSFをやりたいそうです」ということでしたが。
新井さんは「SFって宇宙人の話ですか?」と言っていたようですが、そうじゃない(笑)。新井さんは伊吹のようなところがある人で本当に面白い。それはさておき、シリーズの3作目を新しくやるぐらいなら、「アンナチュラル:ユニバース」(仮題)を作ったほうがいいとも思いますが…キャストの皆さん全員忙しいし無理でしょうね。
「MIU404」も実は当初、もっと話数が多い予定だったので、他にもいろいろとやりたいことはありました。事件が起こらない日常回など遊びのある回もやりたかったんですが、コロナ禍の中で11話放送できただけで御の字です。新井Pと、塚原監督率いる塚原組のスタッフ、キャストの全員が、過酷な状況に加え時間がない中で何とか撮りあげてくれたことに感謝しています。裏側の苦労なんて本来、視聴者の皆さんには関係のない話なんですが、今回ばかりはそうも言いたくなりますね。
人生のピタゴラ装置のように、この「MIU404」も紆余曲折の道をたどりながら、大勢の力でもって最終回を迎えます。伊吹と志摩、4機捜の行く末を、共に見届けていただけたら幸いです。
取材・文=小田慶子
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