奈良美智(画家・彫刻家):歴史に翻弄される人生映画と、真剣に美術に向かい合う1人の青年の成長の描き方が、数々ある素晴らしい映画以上のものにしている。
平野啓一郎(小説家):リヒターを誤解していたのではと疑い、また、やはり正しく理解していたのだとも思う。韜晦の隙間に真相がちらつく。
前田エマ(モデル):「芸術は無くならない」、その意味を教えてくれる苦しくも美しい、戦いの日々がここにありました。
滝本誠(映画評論家):ナチス「退廃芸術展」以降、リヒターの目、行動を通しての20世紀西欧美術史3時間フルコース、前菜がヘビー!
椹木野衣(美術批評家):ナチスの退廃芸術から戦後ドイツ、東の社会主義リアリズム、西の現代美術、そして伝説のヨーゼフ・ボイスの講義までが再現される、激動の20世紀美術史=映画。
SYO(映画ライター):魂を溶いて描いたような、無二の力作。戦禍も災厄すらも、芸術の前では養分なのだ。
吉岡里帆(女優):ずっと出会いたかった映画。さまざまな幸せの捉え方があるが、真実に希望を見いだす人生はその中でも最も強くたくましく揺るぎない。最高の1本でした。
和田彩花(アイドル):立場を超えて、生活から見いだされる人間の営みや苦悩に寄り添う本ストーリーの姿勢に、心を揺さぶられた。
小野正嗣(作家):画家自身は言葉にしない創造の原風景に、想像力を携えて近づくこと。そのとき絵は、映像は、人の絆を破壊する暗い力に屈しない生命の脈動で、私たちを震わせる。
藤原ヒロシ(音楽プロデューサー):官能的で感動的。激動の時代を客観的に眺めた少年の心が、芸術を通してあふれ出る。
ナチ政権下のドイツ。少年クルトは叔母の影響から、芸術に親しむ日々を送っていた。ところが、精神のバランスを崩した叔母は強制入院の果て、安楽死政策によって命を奪われる。
終戦後、クルトは東ドイツの美術学校に進学し、そこで出会ったエリーと恋に落ちる。元ナチ高官の彼女の父親こそが叔母を死へと追い込んだ張本人なのだが、誰もその残酷な運命に気付かぬまま2人は結婚する。
やがて、東のアート界に疑問を抱いたクルトは、ベルリンの壁が築かれる直前にエリーと西ドイツへと逃亡し、創作に没頭する。
美術学校の教授から作品を全否定され、もがき苦しみながらも、クルトは魂に刻む叔母の言葉「真実はすべて美しい」を信じ続ける。
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