「恋愛は世界を広げる入り口になる」アニメ映画『思い、思われ、ふり、ふられ』原作者・咲坂伊緒&黒柳トシマサ監督対談

2020/09/14 19:00 配信

映画

【写真を見る】理央(左)の存在が由奈の中でどんどん大きくなっていく…甘酸っぱい描写にドキドキ!(C)2020 アニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 (C)咲坂伊緒/集英社


黒柳監督「『ふりふら』が新しいアニメの切り口になれば」


――4人の高校生たちのみずみずしい青春を描いた『ふりふら』。そのアニメーション映画化にあたって、黒柳監督が大切にされたことは何ですか?

黒柳「一生懸命さを馬鹿にしないことです。『ふりふら』は、まだ完成されていない成長過程にいる高校生が主人公ですから、常に正しい選択をするわけではなくて、ときどき間違えたり、ああすれば良かったと後悔することもあります。でも、その道を自分で考えて選んだってことは肯定できるようにしたい。たとえば、由奈が理央を好きになって振られて、また好きになるいきさつは見ていてもどかしく感じるけど、そのときの精いっぱいを自分の言葉でかたちにする、彼女の輝く瞬間は大切にしたいと思いました」

――監督が今回の制作で感じた気づきや、作品を通しての発見があれば教えてください。

黒柳「『ふりふら』の制作を通じて、恋愛は世界を広げる入り口になると思ったんです。最近、アニメが内向的になっていると感じています。問題が起きたときに自分の心のなかだけで答えを見つける作品が増えている。ですが、少女まんがは“答え”が自分のなかにないと思うんです。相手がいるから、自分がいる。好きな人と出会うことで、自分の世界が広がっていく。“答え”は自分の外にあります」

――内面を掘り下げていくというより、関わりのなかで自分と世界を見つけていく、ということですね。

黒柳「間違えないようにしなきゃと身を固めるのではなくて、人と深く関わることで、自分にはない世界の捉え方や考え方を発見していくことが、いまの僕たちにとっても大切なことなのではないでしょうか。そんなアニメの新しい切り口に『ふりふら』がなれればいいなと思っています」

――最後に、この映画を見る人に向けたメッセージをお願いします。

咲坂「実写とアニメ、それぞれにしかできない表現があるんだな、ということを今回の制作に関わらせていただくなかで知ることができました。私も、まんがだからこそ活きる表現を突き詰めていきたいと思いました。アニメでは泣く泣くカットしたシーンもありますから、アニメとまんがを見比べてもらうのも楽しいかなと思います。ぜひ両方ともよろしくお願いします」

黒柳「『ふりふら』に対する愛をいっぱい込めました。ぜひ見に来てください!」

【写真を見る】桜散る中、4人の高校生たちの笑顔が印象的なアニメ版「思い、思われ、ふり、ふられ」ポスター(C)2020 アニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 (C)咲坂伊緒/集英社