「役者・草なぎ剛の 代表作になったと思う」映画「ミッドナイトスワン」について語る【連載コラム】

2020/09/24 00:00 配信

芸能一般

「撮影中、なんだか昔のことを思い出した」と語る草なぎ撮影=諸永恒夫


「一果が僕を凪沙にしてくれた」


 トランスジェンダー役ということで、女性っぽさをどう表現するかが課題ではありました。女っぽくやり過ぎてもいけない。相手がいるからできることで。マニアックな話をすると、一果を迎えにいって、一番最初に凪沙のアパートに入るとき、凪沙は髪をかきあげてドアのカギを開けるんだけど、あれは一果の前だからやってるんだよね。一果がいなかったら、そういうふうにはしない。ちょっと虚勢を張ってるというか。普段からああいう女っぽさを出しているわけではないんだよ。そこは最初のシーンで、剛くん女っぽく演じ過ぎてるんじゃないの?って見られるかなと思ったんだけど、監督は何も言わないから、ああ、いいんだー!と思って。そういう細かい微調整が僕の中にはあった。部屋の中でも一果の前だからすごい髪を触るとか。そう、一果が僕を凪沙にしてくれたんだよ。

2人のシーンは本当にいいシーンがたくさんできたと思う。例えば…ここ予告にあるからいいよね。広島弁で「うちらみたいなんは強ぅならんといかんで」と引き止めるシーン。一果のエネルギーというか圧力がすごかったから、僕の中で気持ちが起きて、すごく好きなシーンになった。気持ちは作ってない。自然に起きるんだよ。