「役者・草なぎ剛の 代表作になったと思う」映画「ミッドナイトスワン」について語る【連載コラム】
「一果が僕を凪沙にしてくれた」
トランスジェンダー役ということで、女性っぽさをどう表現するかが課題ではありました。女っぽくやり過ぎてもいけない。相手がいるからできることで。マニアックな話をすると、一果を迎えにいって、一番最初に凪沙のアパートに入るとき、凪沙は髪をかきあげてドアのカギを開けるんだけど、あれは一果の前だからやってるんだよね。一果がいなかったら、そういうふうにはしない。ちょっと虚勢を張ってるというか。普段からああいう女っぽさを出しているわけではないんだよ。そこは最初のシーンで、剛くん女っぽく演じ過ぎてるんじゃないの?って見られるかなと思ったんだけど、監督は何も言わないから、ああ、いいんだー!と思って。そういう細かい微調整が僕の中にはあった。部屋の中でも一果の前だからすごい髪を触るとか。そう、一果が僕を凪沙にしてくれたんだよ。
2人のシーンは本当にいいシーンがたくさんできたと思う。例えば…ここ予告にあるからいいよね。広島弁で「うちらみたいなんは強ぅならんといかんで」と引き止めるシーン。一果のエネルギーというか圧力がすごかったから、僕の中で気持ちが起きて、すごく好きなシーンになった。気持ちは作ってない。自然に起きるんだよ。
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