9mm Parabellum Bullet・菅原卓郎インタビュー!「音楽を届けに行きたいっていうメッセージを形にしたい」

2020/09/23 08:00 配信

音楽

9月9日「9mmの日」に初のトリビュートアルバム『CHAOSMOLOGY』と1年5ヵ月ぶりのシングル「白夜の日々」を同時リリース


毎年9月9日は「9mmの日」と銘打ち、何らかのリリースやライブを行っているロックバンド・9mm Parabellum Bullet。今年は、初のトリビュートアルバム『CHAOSMOLOGY』と1年5ヵ月ぶりのシングル「白夜の日々」を同時リリースした。ボーカル&ギターの菅原卓郎に訊いた。

「『トリビュートアルバムを作らないか?』っていう話は、去年の結成15周年のタイミングで出てたんです。でも、その時点で既に色々と盛り込み過ぎてたから、『今年はやめときましょう』ってなって。節目とは関係ないタイミングで発表したほうが、集中して作れるんじゃないかっていうところもありました。あまり自分たちから他のアーティストに『トリビュートしてください!』って動くものでもないと思ったので(笑)、レコード会社から提案されるテイで待っていて、今年再度提案してもらったので、出すことにしました」

合計18組が参加した2枚組。DISC2はインスト盤だ。

「ライブのステージングが象徴的ですけど、9㎜はときどきとんでもない轟音を出すので(笑)、そのカオスだって言われてる部分と、あと滝(善充/ギター)が作る楽曲のすごく緻密な部分──対バン相手がカバーしてくれることもよくあるんですけど、『音、リズムの噛み合い方がよくできてる』って分析されることも多くて。それで、“カオス(混沌)”と“コスモス(秩序)”をあわせた“カオスモス”っていう造語に、さらに“コスモロジー(宇宙論)”っていう言葉をくっつけて、『CHAOSMOLOGY』ってタイトルにしたんです。その9㎜の楽曲の特殊な構造については、インスト盤のほうがより見えてくるんじゃないかと思ってて。言葉によるメッセージはとりあえず置いといて、その部分を楽しんでもらえる一枚になるんじゃないかと思ってますね」

歌が入っていなかったとしても、とてもメロディアスでキャッチーさが際立ったカバーばかり。9㎜の楽曲は歌メロの宝庫だということを改めて思い知る。

「参加してくれたアーティストの、メロディを担当してる楽器の歌心にも驚いたんですけど、どの楽器で演奏してても、『やっぱメロディなんだな』って、自分でも思いました。その楽曲のアレンジの向こう側にある、メッセージやメロディを再認識したところはあります。ただ、それぞれのアーティストのカバーバージョンを9㎜で演奏しようとすると、それぞれのバリエーションがすごすぎるので無理がありますけど(笑)」

中でも驚きが大きかったのが、女性ボーカルによるカバーだという。

「FLOWER FLOWERには、『もう好きにやっちゃってください』って言ったんですけど、ほんとに『名もなきヒーロー』を好きにカバーしてくれてて嬉しかった(笑)。チャラン・ポ・ランタンの『ハートに火をつけて』は以前ライブで聴いたことはあったんですけど、音源で聴くとまた迫力がすごい。BiSHの『Discommunication』は、バックバンドがすごく張り切って弾いてくれてて(笑)。滝がライブで弾いてるフレーズがちょこちょこアレンジされて入ってたりしてて、ちゃんと『9㎜のおいしいところはこれでしょ』ってところを盛り込んでくれた。あと、『Discommunication』の歌詞はサビが女性一人称なんですけど、女の人が歌ってるのを聴いて、『あ、こういうことだったんだ』って。当時の僕としては、たまたま女性一人称がフィットしたからそのままにして出したんですけど、これで完成した感覚になりましたね」

菅原と滝のユニット、キツネツキもタブゾンビ(SOIL&“PIMP”SESSIONS)と栗原健とともに「黒い森の旅人」のインストカバーで参加している。

「こっそりと(笑)。去年、ライジング・サン・ロックフェスティバルの9㎜の結成15周年のステージで、タブさんと栗原さんとセッションする予定だったんです。でも、そのライブが台風で中止になってしまって。それもあって、今回是非ふたりには参加して欲しいって思ったんだけど、一緒にやるバンドが9㎜なのはおかしいからキツネツキになりました(笑)。タブさんがアレンジを全部作ってくれて、それをスタジオで一発録りで録っていきました。栗原さんはサックスとフルート。僕は『もうこれはご褒美だ』って気持ちで、できるだけ気楽にセッションを楽しみました。でもちゃっかり、僕と滝のギターソロも入っちゃってるんですけどね(笑)」