吉岡は、どんな役でも決してスーパーマンに見せず、弱さを持ちながら、それと向き合い、格闘しながら、ふりかかる厄介な出来事にのたうちまわり、ふと泥の中に咲く花を見つけるような生き方を演じ、観る者にそっと寄り添ってくれるような俳優だ。
吉田とは「富士ファミリー」「金田一耕助」シリーズで信頼関係が結ばれているのだろう。
「エール」で主人公・裕一が戦争を乗り越えて、復興していく日本のために曲をつくっていくきっかけを作る人物を託され、みごとにやり遂げた。
モデルの永井と、裕一のモデル古関裕而は実際に会ったことはなく、出来た曲を喜んで永井が手紙を送ってきてやりとりをしただけだった。ドラマでは、ふたりが直接会って、重要な言葉を交わし合う。それによって、ドラマのタイトルでもあり、テーマである“エール”の意味に説得力が増した。(文=木俣冬)
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