大胆ローカライズも!? 国民的アニメ「ドラえもん」が満を持して全米進出!!

2014/05/12 05:00 配信

アニメ

アメリカ版「ドラえもん」では日本版とさまざまな違いをつけている!(『走れウマタケ!』より)(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK

日本が誇る大人気アニメ「ドラえもん」(テレビ朝日系)が、アメリカでも放送されることが決定。テレビ朝日とアメリカのウォルト・ディズニー・カンパニーが手を取り、全米で7800万世帯が視聴可能な衛星チャンネル“ディズニーXD”でこの夏、シリーズ放送がスタートする。世界のエンターテインメントをリードするアメリカへ進出し、ますます世界的なキャラクターとして羽ばたいていく。

今回、アメリカでオンエアされるのは、テレビ朝日で放送してきた'05年4月からのシリーズから厳選された計26話。これまで世界各地で放送された「ドラえもん」はせりふの吹き替えや字幕を施されただけで映像は日本版そのままだったが、今回は世界観や描かれたテーマを守りながらも、英語圏の視聴者に楽しんでもらえるよう、アメリカの文化や生活習慣を反映した“ローカライズ版”を初めて制作。数々の日本アニメをローカライズした実績を誇る“バングズーム! エンタテイメント”が手掛け、「ドラえもん」の長い歴史上、初めて世界的に通用するローカライズ版が誕生する。

そんなローカライズ版「ドラえもん」では、アメリカの子どもたちに親しんでもらうべく、さまざまな工夫を取り入れている。もちろん作品の舞台は日本ではなく、アメリカの架空の場所という設定に変更。ドラえもんは英語名もDORAEMONのままだが、のび太は日本語のイメージを残しつつ、より呼びやすく親しみやすいNoby(ノビ―)という名前に。しずかは、英語圏の子どもたちにも受け入れやすいSue(スー)という呼び名に変わり、日本版よりちょっぴり活発な女の子として描かれている。ジャイアンは“ガキ大将”のイメージを意識しながらも、覚えやすさと親しみやすさを込めBig G(ビッグ・ジー)というあだ名に。スネ夫は“sneer(=あざ笑う)”という意味も込められた名前、Sneech(スニーチ)になった。“ひみつ道具”も英語表記となり、どこでもドアはAnywhere Door、タケコプターはHopter、アンキパンはMemoryBreadなど、それぞれ英語に翻訳されて登場する。

さらに、英語版の設定に合わせるため、映像もさまざまな編集・加工が施されている。オムライスがパンケーキに変わったり、箸をフォークに変更するなど、野比家の食卓もアメリカの子どもたちになじみ深いものに。また、日本ならではの石焼きイモの屋台がポップコーン販売のトラックになるなどの細かい変化も見られる。アメリカの健康志向にも配慮し、子ども向け番組でも“健康的な食生活を推進”することが放送基準の一つとされる同国らしく、菓子を大量に食べるなどの表現を制限。ドラえもんがたくさんのどら焼きをほお張るシーンを短縮し、のび太のおやつをフルーツに変更するなど、臨機応変に対応している。

未来からやって来たネコ型の子守りロボットであるドラえもんは、“タヌキ”に間違えられて憤慨するのがお約束だが、アメリカのタヌキ(=raccoon)は、日本の丸く太ったタヌキとは異なり、なかなか理解されにくいため、ドラえもんはアザラシ(=seal)に間違えられて怒る、という設定に。のび太の“0点答案”も、落第を意味する“F”の文字を追加するほか、のび太が手にするおこづかいもドル紙幣に変わる。オープニングは、日本版の素材を編集して構成したアメリカ独自のバージョンを採用。主題歌や劇中の音楽、効果音も子どもたちが感情移入しやすいものとなり、せりふも単なる直訳ではなく、韻を踏むなどして楽しいやりとりが展開される。ただ、ジャイアンの口グセ「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」は、「What’s mine is mine. What’s yours is mine!」で、全く変わらないというニクイ演出もされている。記念すべき英語版の第1話としてオンエアされるのは、藤子・F・不二雄氏による原作コミックの第1話でもある『未来の国からはるばると』というエピソード。のび太=Nobyと、ドラえもん=DORAEMONの初めての出会いを描いた物語。英語版の制作スタッフは“ドラえもん愛”にあふれたメンバーが集結し、まさに国境を越えた国民的アニメの船出に日本のファンも大いに期待することだろう。

英語版プロデューサーのエリック・P・シャーマン氏は「“日本の宝”と言っても過言ではない『ドラえもん』を預けてくださって、本当に感謝しています。ドラえもんがしっかりとアメリカに根付くことを心から願っています。小さなスタジオで20名ほどのスタッフが寝る間も惜しみ、最大限ドラえもんの魅力を伝えられるよう、ベストを尽くしています。一つの言葉のチョイスに何週間もの時間を費やすこともあります。最もよい形で届けたいからです。『ドラえもん』のデビューは忘れられない出来事になるでしょう」と自信たっぷりにアピールした。