2月18日に発表された第83回ドラマアカデミー賞で、「素敵な選TAXI」('14年10月~12月、フジ系)で連ドラ脚本に初挑戦したバカリズムが「ザテレビジョン特別賞」を受賞した。1994年から行われている同賞では、社会的に反響のあったドラマを部門ごとに表彰している。今回は「週刊ザテレビジョン」で紹介しきれなかったバカリズムのコメントを全文掲載します!
――芸人としての仕事をしながら連続ドラマの脚本を描いた数カ月間を振り返っていかがですか?
「大変でした(笑)。プライベートの時間は全くなかったんですけども、実際にやってみると、想像以上に楽しい方が割合を占めていました。なんだかんだで、ギリギリいけたなっていう感じです」
――1話完結型のストーリーでしたが、特に思い入れのある回や、書いていて印象的だった回はありますか?
「思い入れのある回は、前半でいうとまず3話。木村文乃さん演じる麻里奈の不倫をテーマにしたお話なんですけども、書いていく途中で木村さんにやっていただくっていうことが決まって。少しずつ(台本に)書き加えて、徐々に人物像が見えてくる中で、だんだん麻里奈のことがかわいくなっちゃって(笑)。何か、幸せになってほしいなって。最初の段階では展開的にそこまでハッピーエンドではなかったんですが、何とかこのかわいい子を幸せにしてあげたいなと(笑)」
――台本を書いている途中で木村さんに決まったことで、より具体的にイメージが湧いた型ですよね。
「そうそう。木村さんはお仕事もしたこともあって、すごくすてきな女優さんだって思っていたんです。そういうことが多々ありましたよ(笑)。最終回の、枝分さん(竹野内 豊)の彼女役が奥田恵梨華さんに決まって、ざっくり仕上がっていた台本に細かく書き加えていく作業の中で、奥田さんもまたすごくきれいな方で、なんだか、最終的には(枝分と)別れたんですけど、書き終わった後も何とかよりを戻させたいなと(笑)。感情移入しちゃって」
――枝分は何度も過去に戻れるから、彼女ともやり直しが利きますもんね。
「はい。いろんなパターンを何回も何回も考えて、どれを思い付いても蛇足だったので、結局(よりを戻すという展開は)諦めたんですけど(笑)」
――そんな気持ちで書いてらっしゃったんですね(笑)。
「そうですね(笑)。あと、9話は完全に高橋努さんと梶原善さんと竹野内さんによる車内の1時間の壮大なコントとして書きました」
――ドラマだけどドラマらしくない! すごく笑えました。
「もう本当に、ただただ何のメッセージ性もない回でしたね(笑)」
――最終回で、枝分さんが床屋さんというのが衝撃的でした。これは、最初から枝分さんを床屋さんだと思って書いていたんでしょうか?
「いや、あれは、(枝分の職業を)何にしようかって話していたんです。もともと(タクシーの運転手とは)別の職業だったっていうことにしようとは言っていて、会議で『サラリーマンも違いますよね』みたいな話になって。やっぱり、枝分さんは選タクシーの運転手になる前もあのヒゲで、あの髪形がしっくりくる職業でいてほしかったんですよ。それで、床屋さんいいなぁって思って」
――確かに、(床屋さんだったということには)びっくりしたけど、なじんでいるなと思いました。
「他の職業であの風貌で成立するのは何かっていろいろ考えたあげく、床屋さんになりました」
――竹野内さんをタクシー運転手の役どころにしようと思ったのも、バカリズムさんからですよね?
「そうですね。何かこう、最初にざっくりとした(物語の)イメージを考えるときに、(竹野内演じる枝分が)不思議な話の中心にいるというよりも、そのお話のポジション的にはストーリーテラー的な感じの、少し引いた感じの立ち位置にしたら面白いんじゃないかって思ったんです。竹野内さんの、ちょっと淡々とした感じが引き立つんじゃないかって。
【2月19日(木)配信のインタビュー・パート2に続く】
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