作家・ゲッツ板谷の自伝的小説を映画化した「ワルボロ」の続編となる「ズタボロ」。暴走族やヤクザ相手に自分なりのケリをつけようとする不良高校生の青春を描いた群像劇だ。主役・板谷コーイチを演じる注目の若手俳優、永瀬匡が映画について語った。
本作が初主演の永瀬は「自分をさらけ出していい役で主演をやらせていただいたことは幸せなことだなと思いました。これを機にもっと自分のことを知ってもらおうと思っていたので、映画の最後に『俺が板谷コーイチだ。バカヤロー』って言うシーンがあるんですが、『俺が永瀬匡だ。バカヤロー』っていう思いと重なってすごくうれしかったですね」と感想を述べた。
リアルなけんかのシーンも見どころ。「特撮のアクションとは全然違いました。(ピカイチ役の)石田卓也くんが実際に格闘技をやっているので格闘技の間合いで演技するんです。本当に殴られるかもしれないというピリピリ感があって、その緊張感の中での生々しさが出てるんじゃないかな」と気の抜けない撮影の連続だったことを明かした。
ヤクザを怪演する平田満や佐藤二朗ら個性派俳優と共演。「すごいパワーでしたね。やっぱり大人のパワーってすごい(笑)。経験してきたことが違うなって。二朗さんがちょっと変わった変態的な動きをしているのを見て、最初この人不思議な人だなと思ったんだけど、それが演じるにつれて狂気に変わっていたから、なるほどお芝居の作り方も怖いなって。その恐怖と役柄自体の恐怖とでダブルパンチで怖い!やっぱり大人には勝てないと思いました(笑)」と実感したとか。
「ズタボロ」は単なるけんか映画ではない一面もあるという。「コーイチのことをみんなが思ってくれるんです。彼が母親と言い合っているところもそうだけど、すごく温かいんですよ。ヤクザのおじさんが高校生であるコーイチにヤクザの世界の恐ろしさというものを教えてくれたりするのも温かさだし、(清水富美加演じる)清美がきつい言葉をかけてくるのもコーイチのことを好きでいてくれるからこその温かさだし、仲間と一緒に同じ方向を向きたいという彼の気持ちも温かいことだから、すごく作品を通して温かさが伝わってきます」と、この作品の別の見方を教えてくれた。
ラブシーンに関しては「もうありがとうございますって感じでしたけど(笑)。清美とのシーンは愛情があったので演じやすいのですが、逆に愛情が無い場面の方が大変でしたね。積極的に女の子から攻められたり、風俗に行くところとか。別にその人を好きでもないのに”濡れ場”を演じなければいけない感じというのは逆にむずかしかった。どうしていいか分からないまま、相手はなんかいろいろやってくるから、ああそうかみたいな(笑)。その時のせりふが『何やってんだろ俺って』。確かにそうだなって。かたや一目ぼれした清美とのラブシーンは同じ“濡れ場”でもこんなに違うんだなと思いましたね(笑)」と素直な心情を語った。
今後は「これ共感できないだろうという役を、見ている人にどこまで共感させられるかということに挑戦したいですね。悪役であっても善い人でもそうだけど、この人に愛着わくなと思ってもらえるような。そんな共感を持たれる役ができたらすごくうれしいことだし、その画面の中にいる意味があるから、そうあったら幸せだなって」と、俳優としての成長に意欲的だ。
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