NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「まれ」で、主人公・希(土屋太鳳)の祖母でパティシエのロベール幸枝を演じている草笛光子。
かつて娘の藍子(常盤貴子)を置いてフランスに行ってしまったり、今度は突然希たちの前に現れたりと、自由なキャラクターとして描かれているロベール幸枝だが、希にとっても物語としても非常な重要な役割を持って登場した。朝ドラへの出演経験豊富な草笛に、役柄についての感想や草笛の“夢”について話を聞いた。
――希に夢と向き合うきっかけを与えるロベール幸枝ですが、草笛さんから見て彼女はどんな女性だと思われますか?
ロベール幸枝はこの物語に、外国の風を持って入ってきました。私はそういう“風”を持って入る人だという事が新鮮で、うれしかったんです。「あ、面白い!」と思いました。私は割と舞台などで海外の劇に出演することが多いので、外国人の役の方がスッと入れます。横浜生まれだからかもしれません(笑)。着物を着る役の時は、着物は中へ中へと気持ちが入るように作られているので、そういう役を演じられます。洋服は反対で外に広がっていく。これが私の性に合っているのかもしれません。
――作中で話されていたフランス語は面白かったので、もっとやりたくなったと伺いました。
初めは難しくて大変だなと思いながらやっていましたけれど、終わってみたら懐かしくなってきました。というのは、「どんと晴れ」('07年NHK総合)の時に岩手弁でやりましたが、あの時はフランス語風に話してくださいと言われました。鼻に抜けるように、「ありがとうがんした」だと「がんした」のところです。そうしたらうまくニュアンスが出せると聞いて。あの時と少し共通点があった気がします。
――常盤貴子さんや土屋太鳳さんと共演した感想をお聞かせください。
常盤さんは作中では母である幸枝への葛藤から、にらみつけて迫力ある演技をされていました。でも話すと全然違う方。楽しくて、明るい人でした。太鳳ちゃんは、本当にかわいい! 幸枝がパティシエールで、希がその道をやりたがっている。それが分かった時に私は「隔世遺伝だ」って確信しました。
太鳳ちゃんは、撮影の合間にはいろいろな話をしています。「朝早かったの?」と言うと、太鳳ちゃんはあまり大きな声で言えないと思って遠慮しながら、(小声で)「はい」って言ってました。おばあさんが、孫をいたわっています(笑)。朝ドラの主役は本当に大変です。私も今まで朝ドラを何本もやらせていただいて、彼女たちの大変さを見てきました。
毎日朝から晩まで撮影で、その合間にたくさん取材を受けなければいけない。老婆心というのか、孫がかわいくて心配です(笑)。
――草笛光子さんの夢なんでしょうか?
どういうわけか、年を取るといろいろ夢が増えていきます。これもやりたい、今ならやれるなって思うことがあります。度胸も少しついていたりするので、若いころにはできない、そういうものがあったことに気が付くんですよ。
でも、自分を大事にして、自分を守りながら生きなきゃいけないと思うのと、守らないでガンガンやって生きてやれって思うのと、両方相まっているんです。葛藤しています。
――特にやってみたい夢はありますか? 行きたいところとか…
そうですね。でも旅をするならやっぱり若いうちですよ。若い時に旅をして、いろいろな思いをしたということがすごく身に付いていますね。だから若いうちに旅をして、たくさん苦労をして世界をよく見るべきだと思います。それが今、絶対身に付いていることだと分かってきましたから。
――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。
ロベール幸枝みたいな生き方をしている人もいるということですね。家族よりパティシエの仕事を選んで、フランスまで勉強しに行ってしまうという広がり方は、日本人としては珍しいです。この情熱というか、好きなことをやるという度胸。そういうものも人間、持っていていいんじゃないかと私は思います。その気持ちさえあれば、外国にいても日本にいても負けずにやっていけると思います。
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