遠藤憲一・菅田将暉W主演の金曜ナイトドラマ「民王」(毎週金曜、テレビ朝日系)で、武藤泰山総理の右腕として働く官房長官・狩屋孝司を演じる金田明夫にインタビューを敢行。
ドラマの反響や官房長官の役を演じる上での意識について、遠藤・菅田それぞれの印象などを聞いた。
――官房長官を演じてらっしゃいますが、役の感想を教えてください。
官房長官を演じているという意識はあまりなく、遠藤さんと菅田くんが演じる泰山の盟友という意識が強いですね。二人とは何十年来の付き合いで、翔くんが小さいときから武藤家に出入りしていたという設定なので、そちらの関係性の部分を大事にしようかなと思っていました。官房長官は言ってしまえばある程度見た目に貫禄があれば誰が演じても相応に見えると思いますから(笑)。
そういう意味では政治的な難しい話に意識を向けるのではなく、武藤家に仕える一人の男ということを意識しました。たまたまその人の仕事が官房長官であるだけの話というか。自分のことよりも泰山の女房役に徹している男気のある男を演じてみたいなと思ってやらせていただいています。
――なるほど。ちなみに官房長官についての勉強はされましたか?
官房長官が何をしている人なのかというのはあまり知られていないかもしれませんが、結構公の場への露出があるので、国会中継などを勉強がてら見ています。最初に国旗に向かって礼をして、右後ろに手話通訳の方がいらっしゃって、発言するときはカンペのようなメモを読みながらしゃべってもいいんだな…と、とても参考になります。
――映像で見ていても家族感があるというか、長年の付き合いがあるのだなというのが見て取れます。
それは良かったです! 遠藤さん、菅田くん、高橋一生さんと私の4人でいるシーンが長いですから。菅田くんは今回が初めての共演でしたが、遠藤さんとは何十年も前から共演していますからね。お芝居というのは、僕の中ではアンサンブルだと思っているので、誰かが誰かのために尽くす芝居ができればすてきになると思うんです。
今回は何もしなくてもみんなが相手にささげるような芝居をしているので、楽しくテンポ良くやれました。毎日撮影は大変ですが、本当にこの現場は楽しい方が多いんですよ。そのチームワークの良さが映像からにじみ出ているのでれば最高ですね。
――このドラマは反響が大きいですか?
そうですね! 出演した作品が放送された後に僕の友人から連絡がくることはめったにないのですが、この作品は久々に皆さんから連絡が入ってきます。「面白いです!」とか「いつも見ていますよ」って。普段そういうのを言わない人間が「この後どうなるの?」って聞いてくることも。僕が「え? 言っていいの? 言っちゃうよ? 最終回まで知っているから」って返事すると、「駄目駄目! 言わないで~」ってなりますから(笑)。また、ある人は「出る人みんなが達者な俳優さんなのでテンポが良くて面白い!」と言ってくれました。
――皆さん現場でとても仲が良さそうですが、どんな話をされているんですか?
幅広く雑談しています。具体的にどんな話かと言われると困っちゃうんですけど、例えば「喉が渇いたね」ってなったら「暑いからね。熱射病になったら大変だよね」とか。そうすると熱射病の話がどんどん進んで、お年寄りは気を付けなきゃって言っている間に、年寄りはああだこうだって話が進んでいく。するといつの間にか「お願いしまーす」ってスタッフさんが呼びに来られる(笑)。そんなたわいもない話なんですけど、野球で言えばそれがいいキャッチボールになっている気がします。ポンポンポ~ンとリズム良く投げ合って、いい息抜きになっています。
――切り替えはきちんとできていますか? たまに切り替えがうまくいかないって方もいらっしゃいますが。
休憩で開放してしまっている分、スパっと役に戻れますね。これは僕の考え方なんですが、休憩中もずっと集中力を構築させていると、その後カメラが回ったときに集中できなくなるんですよね。逆に回っていないときはばか話をするとか、それくらい振り切った方が芝居はやりやすいです。
オンオフのスイッチをしっかり付けると、ポンっと入れるんですよ。この現場はあまりみんなで休憩のときに「ああしよう、こうしよう」というのがないんですよ。それよりも、あうんの呼吸で芝居しています。それが一番いいのかなって思いますよ。「こういうときはああするこうする」って細かく話をすることもあるんですけど、今回はそういうのもないですね。
お互いがお互いの芝居を見て、菅田くんはこういう芝居なんだ、(遠藤)憲ちゃんはこういう芝居なのか、じゃあ俺はこうだなって。みんながどうすればすてきな芝居になるのかを黙っておのおの考えています。
――ちなみに本仮屋ユイカさんは、楽し過ぎて、おしゃべりに入り過ぎると切り替えが難しいっておっしゃっていました(笑)。
本仮屋~! あ~。甘いねえ…うそうそ(笑)。本仮屋はかわいい生徒なんですよ。僕のことをいまだに先生って呼んでくれますから。「3年B組金八先生」(TBS系。'01~'02年の第6シリーズで共演)を知らない人は「金田はあれか、若い俳優に自分のことを『先生』って呼ばせているのか」って思いますよね(笑)。ユイカちゃんもこの現場は面白いですって言っていますし、本当に楽しいですね。
――本仮屋さんと一緒にダンスの練習をされたとか?
ユイカちゃんのダンスはとても奇麗ですね。「お手本」というのを絵に描いたらこうなるんだろうなという感じです。知英ちゃんもそうでしょ。踊りがうまいし、みんな素晴らしいですよ。
――ダンスは苦労しましたか?
苦労はしませんでしたが、エンディングでは知英ちゃんの横で踊っているから、「俺も一流になったもんだ」って違う錯覚をしましたね(笑)。知英ちゃんの横で踊れているから。まあでも、思ったより難しいフリもなかったので、苦労したというより楽しく踊れました。
――原作本は読まれましたか?
今回はあえて読みませんでした。結構原作と映像では変わるだろうなって思っていたので。逆にクランクアップしてからじっくり読もうと思っているんですよ。そうすれば全く違う見方ができるかなと。
たまに事前に読んだことでうまくいくこともあるんですけど、読んだばかりに「こういうことでしょ」って、自分で勝手に方向性を決めちゃうこともあるので。「民王」というのを全く知らない人が見ると考えて、僕も西荻(弓絵)さんの本をまっさらな気持ちで読もうと思いました。
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