毎週金曜に放送中の金曜ナイトドラマ「民王」(テレビ朝日系)で、菅田将暉とW主演を務める遠藤憲一にインタビューを敢行。
池井戸潤原作の抱腹絶倒のコメディーで、遠藤は内閣総理大臣になった途端に、息子の翔と入れ替わってしまう“女子力男子”を熱演中だ。ベテラン俳優が見せる物悲しい姿は大きな反響を呼んでいるが、実際に自分の耳にも反響は届いているのか、現場でのエピソードなどを聞いた。
――SNSなどでも大きな反響を呼んでいるドラマですが、遠藤さんの周囲の反響はどうですか?
どの現場に行っても「面白いね!」と言われるので、業界の方がたくさん見てくれているのだなと感じます。業界の方だけでなく、近所の方にも「面白いですね~」って言ってもらえるので、反響は大きいですよ。
午前中にウオーキングすることがあるのですが、先日も小学生の女の子に「『民王』面白い!」って言われました(笑)。でも、一番ビックリしたのはドラマに出ていない俳優さんからもメールがきたことですね。
なかなか役者の皆さんって自分が出ていないドラマの感想を言わないと思うのですが、「面白過ぎるよ!」と言った内容のメールがきました。同業者にも面白いと思っていただけるのは、演じている身からすればうれしいですよ。
――翔くん(見た目は泰山)が「総理!」と呼び掛けられた時、手をひょこっと挙げるしぐさも「かわいい」と評判ですが、あれはご自分で考えられましたか?
いえ、あれは監督が考えました。「『総理!』と呼ばれたら手を挙げてみて」と。木村ひさし監督は1度付けた癖のようなものは忘れずにずっと通す主義なんです。一応、毎回やっているつもりですが、たまに忘れてしまっている回もあるかもしれません(笑)。
ただ、第4話で女性議員に「総理! 総理!」と連呼された時は、意図的にやりませんでした。あの時は狩屋官房長官(金田明夫)を守ろうとしていたこともあって、いつもと違った感情なのだろうなと思っていましたから。でも、今思えばあの時もやってしまえば良かったかなと思います。
――遠藤さんご自身もあのしぐさは気に入られていますか?
そうですね。「日光猿軍団」のお猿さんじゃないですけど、総理と呼ばれたら手を挙げるということを仕込まれたかのような(笑)。いつも律儀にやってしまうおかしさと、教育され過ぎてしまってかわいそうな感じと、両方あってこれは考えたなあと思いましたよ。
――ちなみに菅田さんの癖なども取り入れていたりするのですか?
いや、それはあまり気にしていません。どういうしゃべり方をしているかなどは、台本の読み合わせをしている時に少ししましたが、言い回しとかそういうことではなく、翔の持っている心の良さや、泰山の持っている勢いなどをお互いに拾い合って、感覚で演じてきました。
――ご自分の演技をオンエアでご覧になってどうですか?
いつも最初に完パケ(完成データ)をもらって見られるので、オンエアを含めて2、3回見ています。それだけ「民王」は見どころ満載なんだろうなと思いましたね。
きっと視聴者の方もそうだと思うんですけど、最初にざっと見て、その後はまた違う視点でコアなところを見つけて楽しんでいるんでしょうね。「民王」は小ネタがいろんなシーンにありますから。
――特にお気に入りのシーンはありますか?
どのシーンかというより作品自体がお気に入りです。クランクインする前、最初の取材の時にも言ったかもしれませんが、笑えてキュンとくるドラマって珍しいですよね。口で言うのは簡単ですが、ずっとそういうドラマを目指してきました。
本当にいろいろな要素がぐっと詰め込まれた作品だと思いますし、キャスト・スタッフの一人一人がプライドを持って作っているのでグダグダにならずに仕上がっているのだなと感じます。
――エンディングダンスや劇中でのダンスはいかがですか?
エンディングもそうですが、“モフモフン体操”もハードルが高かったですね。そもそもダンスはあまり得意じゃないし、英語で歌う時もその英語が全然覚えられない(笑)。少ししか歌わないのに、英語が覚えられないからカンペを出してもらってしまいました。
――こういう作品は今までの俳優人生でもありませんでしたか?
一つの作品にここまでいろんなものが詰め込まれたドラマはなかなかありませんね。1人2役のようなキャラを演じるのも初めてなので、面白いですよ。でも、菅田くんは泰山キャラが長いし、俺は俺で翔のキャラの方が長いので、それぞれ急に元に戻るとやりづらい(笑)。菅田くんも今は翔の方がやりづらいんじゃないかなと思います。
――逆に“本来の姿”の方が演じづらくなってしまったんですね。
そうそう、今は翔の方が気持ち良く演じられて、泰山になると大変ですよ。せりふも難しいし、それを惑うことなくスラスラと言わないといけないので。だから泰山ではいつもNG何連発ってしちゃいますよ(笑)。
でも、翔を演じるのはやりやすい分、なるべく自分の“外面”が出ないようにしないととは思っています。いずれにしても、なかなかテレビドラマでここまでガッツリと役作りしてきたことはないので、貴重な経験になりました。ただ、客観的に自分が演じる翔の姿を見ると、気持ち悪さと面白さがスレスレのところですけど(笑)。
――せりふでも「ワニ顔」などと、結構いじられていますよね(笑)。
そういうのは別にいいんですよ(笑)。結構昔から言われていることなので、特に気にしたことはありませんから。
【「民王」遠藤憲一『オファーがあれば何でもやる』へ続く。同記事は9月17日(木)朝6時に掲載予定】
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