10月22日(木)夜8時からスタートする岸谷五朗主演の木曜時代劇「ぼんくら2」(NHK総合)。前作では、主人公の同心・平四郎(岸谷)は長屋から次々に人が消える怪事件を追い掛け、真相にたどり着くものの黒幕の権力の前になすすべなく身を引くことに。今作は、先の事件の鍵を握る人物・葵が殺害されたことをきっかけに、平四郎が犯人と事件の裏に隠された複雑な人間模様を解き明かす。
そんな重要人物・葵を演じる小西真奈美にインタビューを敢行。今作から撮影に加わった小西が、初の連続時代劇への挑戦や京都での撮影について語った。
――あらためて、今回演じられる葵の役柄について教えてください。
湊屋総右衛門(鶴見辰吾)という権力者のめいですが、訳あってひとりでお屋敷に住んでいて、女中さんに身の回りの世話をしてもらっています。趣味はきせるを吸うこと、ですね(笑)。
――人物像が深く描かれる前に死んでしまう葵ですが、第3話以降では使用人・お六(西尾まり)の回想に登場します。そこでは思いやり深く、精神的に強い人物として描かれているように感じますが、小西さんご自身はキャラクターをどのように捉えていらっしゃいますか?
基本的には、情や愛といったものを持った人だと思います。ただ、彼女は、湊屋にお世話になっている時期に起きた、さまざまな出来事によって、息子との生活をはじめ多くの物を諦めたり、手放したりしてきたんですね。そうして精神的に強くなったことが、ときに彼女を妖艶に見せたり、女の強さを感じさせたりするのではないかと思います。単純なキャラクターではなく、女性のさまざまな側面を併せ持っている人物として演じています。
――葵を演じる中で、ご自身で共感するようなせりふやシーンはありましたか?
はっきりと自分の気持ちを言わない人物ですが、せりふの端々やちょっとしたところに、本当は寂しいのだろうな、息子に申し訳なく思っているのだろうなと余韻を感じるんです。私自身は「分かるよ、つらかったね」と内心すごく共感しているのですが、彼女は出さないというか、出せない人生を歩んできたというか、切ないなと思うことは多々ありました。
――監督やプロデューサーからはどのようなアドバイスを受けましたか?
80歳のチーフ監督が、衣装合わせの時に「葵は、女のいろんなところがあるから。いい人だけじゃないから」とおっしゃっていたのが印象的でした。“女性の”や“女の子の”ではなく、“女の”と言われて、女独特の秘めたるものや、どろどろしたものを想像しました。お六の回想の中ではすごくいい人ですが、そうではない部分も(心の中に)うごめいているんだろうな、と。
――そんな葵を演じるための役作りはどのようにされたのでしょうか?
彼女は、ストレートにものを言ったり、感情を出したりしないのではないかなと思いました。例えば、何かを言うときも相手の目を見ないかもしれないし、うれしいことをうれしそうに言わないかもしれない。そういったパターンを考えておいて、現場で監督からどんな指示が来たとしても応えられるように準備しました。
――監督の指示に応える準備が大事なのですね。今作に限らず、普段から演技のためにされていることはありますか?
“日常生活で必要なことは全部自分でする”ということと、“感じること”を大事にしています。例えば、普段家事をやらない人が家事のシーンを演じても、その動きで分かってしまうじゃないですか?「あ、やってないな」と (笑)。だから、自分でできることはなんでもやります。
あとは、季節を感じるといったことですね。「桜がきれい」というせりふがあっても、思ったことがなければ自然に出てこないと思うんです。だから、感じることをなるべく大事にしていたいなと思っています。それは良いことだけではなくて、悲しいこと、つらいことでもそうですね。
――連続時代劇には今回が初出演ということですが、ご苦労はありましたか?
今回は時代劇も初、きせるを吸う役も初ということで、所作をはじめ、分からないことだらけでした。きせるを吸うしぐさは、雑誌やネットで参考になるシーンを探しました。映画などでたばこを吸っているシーンも見ましたね。喫煙者の方は、吐く煙の長さで本当にたばこを吸っているかどうかが分かると聞いたので、特に気を付けました。
あとは、私は普段バレエを習っているせいか、歩くときに床をつかむように歩いているそうなんです。所作の先生に「擦るように内股で歩いてください」と言われて、意外と日頃の癖が出てしまっているのだなと思いました。それからは泊まっているホテルで歩く練習をしましたね。
――共演者の方々とのお話で印象に残っていることはありますか?
主演の岸谷さんが、私のことをいろいろと言い当てるんです。あるとき「いつもストレッチをしているでしょう?」と言われて、驚いてバレエをやっていることをお話ししたら、実は岸谷さんもご経験者で…。それからは、ポジションの話や、どうしたら体が柔らかくなるといった話で盛り上がりました(笑)。
――役や演技についてはお話しされましたか?
演技についての話は多くはなかったのですが、ひとつうれしかったことがありました。先ほどもお話しした第1話の冒頭できせるを吸うシーンなのですが、前作のファンの方も今作からも見られる方にも入口となるシーンなので本当に緊張していたんです。そうしたら撮影が終わったあと、岸谷さんに「あそこ、すごく良かったよ」と言ってもらって、本当にほっとしました!「岸谷さんにそう思っていただけたなら良かった」と不安が解けました。
――さて、そんな「ぼんくら2」第1話が10月22日(木)に放送になります。ここに注目して見てほしいというポイントがあれば教えてください。
私、台本も持っていて、演じてもいるのですが、あらためて第1話を見たら「こんなところにも伏線があったのか!」とすごく驚きました。今作から見てくださる方にも、その面白さを感じていただけると思うので、ぜひ席を立ったりしながらではなく、じっと見ていただければと思います!
――最後に、今後小西さんが演じてみたい役を教えてください。
これまで演じたことのないタイプの役はなんでもやりたいのですが、いつどんなオファーが来ても受けられるようにしたいです。突然アクションのオファーが来てもいいように、いつも体を動かせる状態にしておきたいですし、コメディーのオファーが来ても楽しく乗っかることのできる精神力を持っていたいですね。
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