鈴木亮平、映画「予告犯」で自身も感じたハマリ役

2015/12/03 07:25 配信

映画

映画「予告犯」でカンサイを演じる鈴木亮平

筒井哲也原作の同名漫画を生田斗真主演で映画化した「予告犯」。新聞紙の頭巾をかぶった謎の男“シンブンシ”がネット上に投稿した犯行予告動画で、現代社会が抱える問題を世論に訴えていくサスペンス。物語の鍵を握る“シンブンシ(新聞マスク集団)”の一人である関西弁の元バンドマン“カンサイ”を鈴木亮平が演じる。実力派俳優として注目が集まる鈴木に今作に懸けた思いや見どころを聞いた。

――この作品へのご出演が決まったとき、どんなお気持ちでしたか?

3年前くらいに原作を読んで、関西弁だし風貌も似てるしこの役は僕だなって思っていて、実写化されたらやりたいなって思っていたので、お話をいただいて本当にうれしかったですね。

――役作りはどんなふうにされましたか?

18歳で上京して、俳優になって標準語を話しているうちに、“失われた自分”というものを思い出しながら演じました。18歳のときまで関西にいたので、もしあのまま関西にいたらこんな感じかなっていうのをイメージして、ちょっとやんちゃな感じというか(笑)。

もう一つは、監督が原作のカンサイよりも明るいキャラクターを求めている感じがしたので、そこは意識しました。ただ、カンサイは自分と似ていると思っていた部分もあるので、役作りしなきゃって感じではなかったし、中村(洋平)監督に全て任せて自然体でやっていこうと思って演じました。

――監督やプロデューサーからは具体的にどんなアドバイスがありましたか?

中村監督からは、「ある意味、サイバーテロみたいなものをライブ感覚でやっている、自分にとっての最後のライブを楽しんでいるような感じで、でもそれが人のためになるとか、悲壮感ではなく明るい感じでやってほしい」って言われました。

この映画はとても切ない話なんですけど、でも当事者にとっては、いつも切ない気持ちでいるわけじゃないし、普段は明るい人でもその奥に抱えている闇とか悲しみを表現できれば、より切なさが出るのかなって思って演じました。僕にはない視点だったので、とても参考になりました。

――誰もが共感できる切ないストーリーだと思いますが、鈴木さんはどんなふうに感じましたか?

切ないのはもちろんなんですけど、現代社会が抱える格差やワーキングプアという問題を取り上げつつ、サスペンスに仕立てたエンターテインメント作品で、本当にいい作品だと思いましたし、これは中村監督にしかできない作品だなって思いましたね。参加できて本当に良かったです!

――周りの方の反響はいかがですか?

皆さん「ラストが思ってた感じと違って、こんなに泣く話だと思わなかった」とか、「もっと怖い話だと思った」って言っていて、それはこの作品の狙いでもあるので、良かったと思います。

――この作品に限らず、演じるために何かされていることはありますか?

なるべく地に足の着いた普通の生活をしようと思っています。役者は刺激的なことも多いのですが、孤独なこともあるし、時間も不規則なので一般の方とは違う生活スタイルになってしまいがちなんですけど、朝起きて電車に乗って仕事に行くこととか、普段の生活が自然と芝居に反映していくのかなって思って。だからなるべくたくさんのことを経験しておくというか。ただ、人がなかなか経験できないようなことも経験しておかないといけないなとも思うし、バランスが難しいですね。

――撮影現場はどんな雰囲気だったんですか?

すごく楽しい現場で、仲良くなることでそれが映像にも出せたらいいなと思っていました。

斗真君が言い出したことなんですけど、「イメージ合わせゲーム」っていうのをやって遊んでました。(例えば)「おふくろの味は?」ってお題を出してそれが全員一致したら「イエーイ」みたいな感じのゲームなんですけど(笑)。

あとは好きな女性のタイプは?とか、たわいもない話です。あと、みんなでお酒を飲む機会があったんですけど、お酒を飲むと荒川(良々)さんが「“良々が悪々”になる」って言われてました(笑)。

――この作品に限らず、鈴木さんはご出演された作品は見られますか?

3年くらいたってからじゃないと冷静に見られないんですけど、この作品は僕が演じたカンサイがどうとかではなくて、チームとして作品を作り上げたという部分が大きいので、特別な作品でした。

――さまざまな役を演じるために、大変なことも多いと思いますがそれを乗り越えていける原動力はなんですか?

カッコいいこと言っていいですか?(笑)。作品に対する愛です!

痩せたり太ったりと体重の増減で苦労したこともありましたけど、でもやはり演じるってことが好きなので。

――「予告犯」の見どころをお聞かせください。

斗真君のすてきな表情です。僕は個人的にも仲良しなんですけど、作品の中ですごく優しい表情で守ってやるというか、そういう柔らかい表情っていうのが、本当にすてきだなと思いました。僕が女性だったら、好きになっちゃう表情でしたね(笑)。

――これまでもさまざまな役に挑戦されてきたと思いますが、今後どんな役に挑戦されたいですか?

時代劇をやりたいです。戦国武将もしくは、刀をよく使う侍とか。声の出し方から、所作から経験してみたいなって思っています!

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