「真田丸」落ち武者姿が話題の声優・高木渉を直撃!

2016/01/29 05:00 配信

ドラマ インタビュー

「真田丸」で小山田茂誠を演じる高木渉は、実は数々の代表作を持つベテラン声優。番組の公式ホームページでの人物紹介においてダントツのアクセス数を誇る

堺雅人が真田信繁(幸村)を演じる大河ドラマ「真田丸」(毎週日曜、NHK総合ほか)。そうそうたる顔触れの大河ドラマにあって、公式ホームページの人物紹介でダントツのアクセス数を誇る人物がいる。

信繁の姉・松(木村佳乃)の夫・小山田茂誠を演じる高木渉だ。「名探偵コナン」(毎週土曜、日本テレビ系)の小嶋元太や高木刑事などの代表作を持つ声優である。

演じる茂誠は、主君を裏切った一族として追われる身となり、再び信繁らの前に現れた1月24日放送では、伸び放題のひげにぼさぼさの髪という姿で視聴者を驚かせた。

初の映像作品に挑戦中の高木に、大河出演の感想や茂誠役に懸ける思いを聞いた。

――ご自身の出演が話題になっていますが、反響をどう受け止めていますか?

とにかくびっくりしました(笑)。ホームページの開設時に顔が出たときも(アクセス数が)上がったらしいですが、そのときは(普段の仕事を知る)アニメやゲームのファンが注目してくださっているんだな、とうれしく思いました。放送が始まると、今度はTwitterのランキングにも名前が出てきて、「真田丸」って本当に大注目されているのだなと感じました。

――大河ドラマのオファーを受けたときはどんなことを思いましたか?

全然、地に足が着いていませんでした。「真田丸」の制作統括の吉川邦夫さんとは、以前、人形劇「シャーロックホームズ」('14年ほか、NHK総合ほか)でご一緒しているのですが、「大河に出てみないか?」と声を掛けてくださったんです。

声優としてはベテランと言われる年で新しい経験をさせていただけるのは、またとないチャンスだなと感じました。それと同時に三谷(幸喜)さんからもメールが来て、途端に現実味を帯びてきましたね。

――当時、周囲の反応はいかがでしたか?

実は、話せませんでした。正式に発表されるまでは、「いつ変わるか分からない」と思っていたので(笑)。矢沢三十郎頼幸役の迫田(孝也)君と仲が良いのですが、第1次、第2次のキャスト発表に2人とも名前がなくて、「これは本当に変えられるんじゃないか」と思っていましたね。迫田君からは「僕たちは秘密兵器ですよ」とメールが来たのですが、僕は「秘密で終わらないといいけどね!」と返しました(笑)。

そして発表になった時は、「いよいよ来たな。浮かれてはいられないぞ」と思いました。ドラマは未経験ですし分からないことだらけでしたので、「足を引っ張らないようにしないと」と。

――撮影現場で想像と違ったことはありますか?

声優の仕事は、映像がすでに出来上がっているので、台本の頭から順番に収録ができるんです。

それが映像だと、4話の39シーンを撮ったら、次は3話の41シーンという具合に前後がばらばらなんです。スタッフさんもそれぞれ忙しそうに動いているし、俳優さんたちは和やかな空気の中に、本番に懸ける瞬発力と集中力を感じます。僕はそんな中で緊張してせりふを間違えてしまったり、まだ全然余裕がないです(笑)。

――さて、演じる茂誠は非常に人間味がある武将として描かれていますが、演技指導などはありましたか?

三谷さんは、「高木さんの人の良さそうな感じが出ればいいので、固くならずに演じてください」と言ってくださいました。でも、第1話の本読みの時はやっぱり固くなっていたのか、三谷さんから「頑張り過ぎないでね」と言われてしまいました(笑)。

恥ずかしながら、オファーを受けて初めて茂誠という人物を知ったので、いろいろと勉強を続けながら、心を込めて演じていきたいと思ってます。

――妻・松を演じる木村佳乃さんとは何かお話しされましたか?

乗馬の練習で初めてお会いしました。僕は、茂誠役は“武将らしさ”より、仲の良い夫婦として真田家にほのぼのとした空気を作れたら良いなと思っていたので、佳乃さんから「今までにない温かい空気を出せる夫婦をつくっていきましょう」と言われてとてもうれしかったです。

正直言って、初めての映像作品で奥さん役が木村佳乃さんということだけでもド緊張だったのですが、佳乃さんに優しくリードしてもらっています。第1話、第2話のほのぼの感は、佳乃さんの優しさのたまものです。撮影が終わるまでには、僕の方が引っ張っていけるようになりたいですね(笑)。

――一ここまで波瀾(はらん)万丈の茂誠ですが、演じていて彼の性格には共感できますか?

先日、小山田茂誠の子孫の方とお会いすることができたんです。墓所にもお参りさせていただきました。茂誠と松のお墓が寄り添うように並んでいて「お墓になっても仲が良いんだな」と手を合わせながら胸が熱くなりました。

松と茂誠は、真田家が豊臣方・徳川方に分かれて戦った関ケ原合戦のあとも、九度山で蟄居生活を送る昌幸・信繁と何度か手紙のやり取りをしています。夫婦で信繁や昌幸を思って、真田家をつなぐパイプライン的役割をしていたんじゃないかと思うんです。そんな温かい家族愛が表現できたらなと思っています。

――1月24日放送では、茂誠の落ち武者姿が印象的でした。あのシーンは、どのように演じられましたか?

刀も甲冑(かっちゅう)も食べ物もないし、謀反者として追われてもいる。藤岡弘、さん演じる本多忠勝に「敵か、味方か!」と刀を向けられて、「話せば長くなりますー!」って逃げていく。みすぼらしいけど生きるのに必死ですよね。逃げる場所も無いけど松にも会いたい、という気持ちでとにかく必死で逃げました(笑)。

――ご自身がテレビに映っているのを見るのには慣れましたか?

いや、超こっぱずかしいですね。皆さんが注目してくださって一緒に一喜一憂してくれるのが本当にうれしいのですが、普段は顔を出さない仕事をしているので、自分の映像を見ていると「形から入ってるなぁ(演技が)固いなぁ」といつも感じてしまいます(笑)。でもこれが今の僕の芝居ですから、監督さんとスタッフの皆さんを信じて、僕も毎週放送を楽しみにしています。これは高木渉にしかできないね、良いね、と言われるように早くなりたいです。

――最後に、今後の茂誠のシーンで見どころを教えてください。

第4話で、茂誠は市場でポプリを見つけて、「松とおそろいのにおい袋が欲しい」と思って自分で作るのですが、あのシーンは自分でも好きですね。そのあとの、松を思って寝ながらにおい袋を握りしめるシーンですとか。実はこれ、もともと台本には無くて、茂誠と松の共通のアイテムを作ろうと、吉川さんと三谷さんが急きょ作ったシーンなんです。ああいう、印象的なものが一つ入るとすごく感情が入りますね。

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