内藤剛志「捜査一課長」のせりふに込めたこだわり(後)

2016/04/13 12:00 配信

ドラマ

「警視庁・捜査一課長」主演の内藤剛志(中央)が、新社会人へエールを送った(C)テレビ朝日

4月14日(月)夜8時からテレビ朝日系でスタートする「警視庁・捜査一課長」で、主演を務める内藤剛志にインタビューを敢行。

後編の今回は、刑事役への思いや新社会人に向けたエールなどを語ってもらった。

内藤剛志「捜査一課長」のせりふに込めたこだわり(前)より続く】

――内藤さんは刑事ドラマに多数出演されていると思いますが、刑事を演じる上での心構えや魅力を教えてください。

確かにたくさん刑事を演じさせていただいております。情報解禁リリースでは、今回が33作目の刑事役となっていますが、後から思い出したら実はもっと多いんです(笑)。ただ、刑事ドラマそのものの多さというのがあると思います。サスペンスものは全部刑事さんが出てきますからね。医者ドラマが多くなったら医者ばかりになるでしょうし(笑)。

演じる際は、刑事というより名前を意識してやっています。例えば「科捜研の女」(テレビ朝日系)の土門薫であれば、“土門薫”を演じているわけであって、刑事を演じているとはあまり思ってないんです。他の作品でも全部名前もシチュエーションも違いますから、個人を演じているというふうに捉えています。

たまたまその人物が刑事さんだったということで、“刑事だから”というふうには思わないですね。だから、どんな人として演じようかなというときも、刑事としてというより、大岩純一ってどんな人だろうというふうに発想します。ですので、実は自分では「刑事役が多い」というふうにはあまり思わないですね。

刑事ドラマの魅力は、“勧善懲悪”ですね。やはり悪いやつは罰せられなきゃいけないと思うし、そういう意味で言えば乱暴な言い方になりますけど、時代劇の現代版と思っているところもあります。

だから、僕は刑事ドラマをやるときは最後に犯人がちゃんと捕まらなきゃ駄目だと思っています。刑事をやる場合は、悪いやつをやっつけるんだぞという非常にシンプルなモチベーションはありますね。特に「警視庁・捜査一課長」は夜の8時台に放送され、子どもも見る時間帯なので、それは伝えておきたいですね。

――4月となり、新生活を始める方も多いかと思うのですが、内藤さんが役者人生をスタートさせた当時の思い出はありますか?

大学に入ったときをスタートとしたら、19歳で日本大学の芸術学部・映画学科に入り、映画を作り始めたときです。大学に入って次の年に文学座の養成所に入ったのですが、うまくいくかどうか分からない。学食で数十円のコーヒーを飲み、仲間と映画の話をしながら、「俺いけんのかな、飯食えるか分かんない」と話していました。でも、そのときに「10年間はやろう」と思いました。30歳までは食えないかもしれないけど、そこまでは諦めずにやろうと。

10年区切りで考えようと思ったことは、間違いなく覚えています。そこまでやって駄目だったら、違うことをやろうと考えていました。そのときの名残で、今でも10年単位で目標や方向性を考えています。60歳になって、50代はこうだったから60代はこうしようというふうに考えたりしますね。

――それを踏まえて、今、新生活を迎える人へのアドバイスはありますか?

進学されたり新社会人になったりした方も、あまり目の前ばかり見ないで、ある程度の期間は結果が出なくても頑張る、と思われた方がいいような気がします。今は駄目でも10年間は頑張ろうかなと思えば、少しは気が楽になりませんか? そして、10年たっても手遅れじゃないと思うんですよね。よし、駄目だったから次だ、と思えるでしょう。だから今18歳、あるいは22歳の方は、それくらいの単位で考えてもいいような気がします。僕はそうしてきました。でも、皆さんと同じように不安でしたよ。

今振り返って、たまたまこうやって取材を受けられるような立場になったからラッキーだったのですが、若いときはみんな不安だと思いますから、あまりすぐ結果を求めないで、初めから時間をある程度取っておくというふうに考えられた方がいいかと思いますね。でも考え方は人それぞれですからね。「今でしょ!」とおっしゃる方もいらっしゃいますし(笑)。どんな仕事でもなかなか簡単に結果は出ないものだと思います。

――最後に視聴者の方にメッセージをお願いします。

この作品はいろいろな思いで作っていますが、やはりチームや集団の力、そして「人は人がいなければ生きていけないんだ」ということを伝えたいです。繰り返しになりますが「ホシを挙げる」という表現でも、1人じゃなくてたくさんの力であれば前に進んでいけるんだと。そして、そういうふうにやっていけば人生も生きるに値する楽しいものになる気がします。

全員の力を信じようということがメッセージですし、それが伝わって作品を視聴後の金曜の朝、会社や学校に行くのが楽だったらいいですね。「行ってみようかな、あいつもいるし、こいつもいるし」というふうに。そんなパワーが与えられるドラマにしていきたいと思っています。