“ビジネスロイヤー”という言葉をご存じだろうか?
企業法務を専門に担当する弁護士で、決してデストロイヤー的なプロレスラーではない。(当たり前だ)
冗談はさておき、そんなビジネスロイヤーが活躍する竹野内豊主演ドラマ「グッドパートナー 無敵の弁護士」(テレビ朝日系)が、4月21日(木)の夜9時よりスタート。本作を一足先に視聴し、見どころを紹介する。
「グッドパートナー 無敵の弁護士」は、企業法務専門の法律事務所で、日々企業から持ち込まれる案件に法律を駆使して立ち向かう弁護士軍団の姿を描く。
弁護士としては優秀なのに家庭人としては失敗してしまった男性・咲坂健人(竹野内)と、仕事上ではパートナーになれるのに、私生活では元夫とパートナーになれなかった女性・夏目佳恵(松雪)。その元夫婦と、2人を取り巻く人々が織りなす、どこかいびつで笑えてしまう“法務&ホームドラマ”だ。
第1話のストーリーは、「神宮寺法律事務所」に新人弁護士の熱海(賀来賢人)が着任。ボスである神宮寺(國村隼)から、教育担当となる弁護士を、パートナー弁護士の咲坂と告げられる。
同事務所には咲坂の他に、佳恵、猫田(杉本哲太)という2人のパートナー弁護士と、それぞれ彼らに付いているアソシエイト弁護士の赤星(山崎育三郎)、麻里(馬場園梓)、そしてパラリーガルの九十九(大倉孝二)らがいた。
熱海は咲坂の下で弁護士としての実践業務を学んでいくこととなるが、出勤した咲坂はどこか不満そうな態度。そんな咲坂に、マミーデザインという会社の社長・重国夕子(鈴木杏樹)から著作権侵害訴訟の弁護依頼が舞い込む。
広告代理店最大手の帝都広告からの発注で、ある清涼飲料水のキャラクターデザインを作成したものの、スポンサーのイメージに合わないという理由でデザインはボツに。数カ月後、別件で依頼のあった地方の町おこしイベントのキャラクターにそのデザインを使用したところ、帝都広告から著作権侵害で訴えられたという。
損害賠償金として1億円を請求されたと語る重国。両社の間には正式な発注書が交わされており、その書面上には「キャラクターデザインの著作権は帝都広告に譲渡する」という旨の文章が記載されていた。
圧倒的不利な状況だが、帝都広告の代理人である「岬&マッキンリー法律事務所」の顧問弁護士の不誠実な態度に、咲坂は神宮寺に「マミーデザインにはビタ一文払わせません!」と全面的に争うことを宣言。「岬&マッキンリー法律事務所」を目の敵にしている神宮寺は、佳恵と猫田に咲坂をサポートするよう指示し、総力戦で勝利をモノにするよう命じる。
しかし、帝都広告からの訴状に目を通した佳恵と猫田は「勝ち目なし」と口をそろえ、「俺は降りる」とサポートを放棄した猫田。佳恵は継続を表明するが、咲坂がひそかに考案していた反撃作戦を聞き、そのあまりにも無謀な案に絶句する…というもの。
まず、宣伝スタッフの方々に謝りたい。最初に番宣資料で「スマートでブリリアントな弁護士」という、謳い文句を見たとき「意味分からん…」とこっそり失笑していたし、そもそも無敵の弁護士って。某「最強の名医」といい、福田靖さん大げさだな、とか思ってしまったのだが、なるほどどうして。こりゃスマートだわ。役者陣がそれはもうブリリアントだわ。開始数分でごめんなさい!と思ってしまった。
いつも初回で気になるところは、どううまくストーリーテリングして、自然にドラマの“自己紹介”をするか。このドラマは定石とも言うべき、新人加入によってイチから視聴者にも認識させるというやり方を取っている。今回はそれを賀来演じるアソシエイト弁護士・熱海が務めた。
その賀来がオーバーリアクションでイチイチ面白い。髪を振り回したり、顔芸(?)を見せたり、これまでの賀来のイメージとはまた違う演技は油断も隙もない。ホームドラマどころか、ホームコメディーだ。てっきりオーバーリアクション枠はレッド(赤星)こと山崎かと勝手に思っていたが、ここまで賀来がやっているとは…。
そして当然ながら、竹野内はスタイリッシュで格好いい。それだけではなく、最近某主演ドラマでも見せていたコメディーのセンスを爆発させるような表情、仕草。松雪演じる元妻とのやり合い、実にいい味を出していらっしゃる。ただでさえバリバリトレンディ―なのに、ユーモアまで身に着けたらそれこそもう無敵でしょう。
その他、法律事務所のメンバーもいい。最近特にこういう悲哀たっぷりのキャラが目立つ杉本や、硬軟何でもありの大倉、爆発力を秘める山崎に美人さん枠の岡本あずさ、脱力系の馬場園、癒やし系枠の宮地雅子ら、THEボス・國村…と、抜け目ないキャラクター配置。
また咲坂の家庭でも、期待の新星・松風理咲が娘役に、そして、家政婦・グエンさん役の上地春奈がもうあり得ない。…あれは反則ですよ!三輪(祐見子ゼネラルプロデューサー)さん。いきなり、ス~っと登場して、微妙な日本語でベトナム料理の名前を発する姿は、笑いしかない。恐らくそんなに毎回の出番が多いわけじゃないだろうが、ぜひ、今後もあの問答無用の笑いを見せてほしい。
“相手方”の近藤芳正&手塚とおるの「お主も悪よのう…」コンビは、今回もテッパンのイヤミな役。もはや出て普通にせりふを言うだけで笑えてくるイヤミっぷりで、濃いドラマの敵キャラとして不足はない。
そうこうしながらも、ちゃんと企業法務を学べる同ドラマ。これまでにない“ヒーロー”像かどうかは分からないが、少なくとも新しい弁護士ドラマのカタチを示す作品になっているのは間違いない。
一見、入りにくそうなカテゴリーだからと言って敬遠しないで、一度ぜひ見てほしい。そうすれば、木曜日がブリリアントな日になりそうだ。
個人的には、ミラノ感のない?あのネクタイが欲しいなあ。
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