毎週木曜に放送中の木曜ミステリー「警視庁・捜査一課長」(木曜夜8:00-8:54テレビ朝日系)で、主人公の捜査一課長・大岩(内藤剛志)の“右腕”とも言うべき管理官・小山田を演じる金田明夫にインタビューを行った。
数十年来の付き合いだという内藤&斉藤由貴との絆について、作品の見どころからプライベートでハマっていることまで、たっぷりと語ってもらい、前・後編に分けて紹介する。
――土曜ワイド劇場から、連続ドラマへ進化し、臨む姿勢は変わりましたか?
僕はその時その時で考えるようにしているので、あまり変化はありませんが、今回は連ドラなので、連続ドラマなりのやり方というのは意識しています。1年に1回や半年に1回視聴者の方が見てくれるスペシャル番組での演技とは違って、毎週見てくださっている人がいる中での演技ですから。
料理でたとえるなら、あまり濃い味付けをしないように、1回でお腹いっぱいになるお芝居じゃなくて、さりげなく何回も見てくださるように味付けをしたいなと。そうすることで、徐々に僕の演じる小山田の“像”が浮かび上がってくるのかなと思いますね。1話1話で全てを出し切らないことが大事なんです。決して出し惜しみをしているわけじゃないですよ(笑)。2時間とは違ったレギュラーの面白さ、というのを演じる側で模索して、みんなでやっています。
――じわじわ1クール通して伝わるように…ということですね?
そう、じわじわ皆さんに伝わることが大切なんですよね。あとは人間関係のパターン化みたいなところは気を付けています。だんだん回を重ねていって「もう見たよ!」と視聴者に飽きられる雰囲気になるのは避けたいので、そこはすごく気を付けています。由貴ちゃんとも、「毎週あるんだから気を付けようね」とブレーキを掛け合いながら前に進んでいます。自分の役としては、1話完結の連続ドラマなので、個として組織のポジションの中に、どう存在しているかというのを考えて演じています。
――小山田は個性が強いキャラクターですが、自分としてはどう演じていますか?
5回も2時間でやらせていただいて、小山田は「粘り強い」とか「見つけるのがうまい」とか、事前情報として書いていただいたことが派生していって、だんだんそれが肉付けされてきました。僕の衣装にしても、比較的刑事としては派手めなネクタイやシャツを身に着けているんです。それは要するにバランスなんですが、一課長がシックなスーツでいれば、右腕の小山田は派手めにしようとか、そんな安易なことではなく、僕なりに考えた末に決めたことです。
事件って本庁捜査一課だけでなく、所轄の人間と一緒に捜査するので、今まで会ったことがない人もいれば、所轄署によっていろいろな人がいるんです。そういうとき、一課長はともかく「小山田ここにあり!」を広く知らしめるにはどうすればいいかと考え、「小山田管理官はどこに?」という場面で「あそこにいる、人一倍大きな声で派手なネクタイをしている人だよ」ってなるように。
それで何となく小山田は派手な服でいこうって、5年前の2時間ドラマ1作品目になった覚えがあります。ただ派手な服を着ているだけじゃなくて、動機づけもきちんとしないと意味がないんです。連続ドラマは短距離走じゃなくて、長距離走のイメージで考えています…プロですから(笑)。
――なるほど(笑)。先日お話を聞いた斉藤さんによると、金田さんは現場でずっとお喋りしているそうですね。
現場が楽しいんですよ。むしろ“井戸端会議”のついでに仕事させていただいているような感覚ですから(笑)。内藤さんもお話好きなんで。それはともかく、世間のイメージでは、刑事って格好いいと思われているかもしれないですけど、全てが後手なんですよ。事件が起きたら動く。悪いところができたから治すドクターと一緒。
もちろん予防医学とか防犯対策もあるんですけど、われわれが追うのは凶悪犯罪なので、誰かが殺されたから動くわけだから、最初にマイナスラインからのスタートなんですよ。ゴール(犯人逮捕)したところで被害者は帰ってこないシリアスな展開。だから、せめて撮影合間はできるだけ明るくしようと。緩急ですよね。それに由貴ちゃんは僕とお喋りするのを楽しみにしているんだから。もう、俺がいなくなったら生きられないようにしてやる!ってくらい、盛り上げています(笑)。
――割とたわいない会話をされているんですか?
ええ、そういうのがお芝居に出るんですよ。空気感が画になるというか、理由は分からないけどそこが“アンサンブル”の大切なところですから。内藤さんとも本当に長い付き合いで、彼も僕も食えないころから知っていますし。彼はその後ちゃんとドーンと出世していって、僕も徐々にこう食べられるようになっていって。内藤剛志は61歳になる年に初めての民放連ドラ主演じゃないですか。役がヒラから成り上がった刑事なので、僕らは「ヨッ!“ガヤ”から成り上がった俳優!」って言って盛り立てています。
お互いに“一般参加ランナー”から這い上がったんですから。最初から胸に2桁のゼッケンを着けるんじゃなくて、何万台のゼッケンから始まった。スタートして10分くらいしてようやく歩き出せるところからスタートしている俳優なので年季が違うんです。もちろん、彼の活躍はうらやましいし、悔しいんだけど、内藤さんがそういうところにいけるのはうれしい。
地道にコツコツやってきた人間がそういういい役をつかめるというのは本当に誇らしいし、素晴らしいことだと思っていますよ。
――そんな内藤さんの魅力はどこでしょうか?
やっぱり彼はニュートラルなんですよ。それに「俺が俺が!」って意識がないんです。これはすごく大事なことだと思うんですけど、常に「みんなで!」って意識で、チームワークを考えているんです。
「俺はこうしたい!」という自己主張ではなく、チーム単位ですごく考える人。適材適所じゃないけど、そういう中でのお芝居なんで、みんなが内藤剛志のためにという意識がおのずと出てくるんですよ。大きな意味での役作りですよね。俺たちは一課長のために事件を解決するんだ!というふうに、まとまってくる。僕は副官として中途半端にいい加減で、中途半端にうるさいキャラでそれを支えている。それがいいアンサンブルを奏でているんじゃないでしょうか。
【捜査一課長の“右腕”金田明夫「自分で気付かないと駄目」へ続く。同記事は4月21日(木)朝8時掲載予定】
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