“五代様”ディーン・フジオカ 五代友厚の生きざまに「日本人として誇り」

2016/05/12 17:01 配信

ドラマ

「あさが来た」で“五代様”旋風を巻き起こしたディーン・フジオカ撮影=横山マサト

今世紀の“朝ドラ”で最高の平均視聴率をたたき出した「連続テレビ小説『あさが来た』」(NHK総合ほか)。「あさロス」「五代ロス」などの言葉も生まれ、「あさが来た」は一大ブームに。「第88回ドラマアカデミー賞」では、ザテレビジョン特別賞に“五代様ブーム”を選出。ブームの中心にいた“五代様”こと、五代友厚を演じたディーン・フジオカにとって、初の“朝ドラ”はどんな作品になったのだろう。

「初めてカルチャー系の番組に出演したり、社会活動的なことをしたり、司会的なこととか、この半年間ぐらいでいろいろチャレンジさせていただいているので、それは五代さん役や『ダメな私に恋してください』('16年TBS系)の黒沢役で注目されているおかげだと思っています」

彼の役への真摯で熱い思いもこのブームにつながった。

「五代友厚という人物が実際に大阪で何をしたかということをリスペクトして演じました。実在した人物なので、五代さんが残した物は一貫させなければならないと。日本の形がなくなってしまうかもしれない時代に、個人的なリスクを厭わずに冒険した。脱藩して、故郷には帰れないという覚悟を持って渡英した。船旅で船が沈む恐れもあるし、英国に着いたとしても国交がないので、殺されたとしても何の文句も言えない。そういうことをした実在の人間が、日本民族の繁栄を考えて行動し、日本に持ち帰り、当時の日本にapply(適応)させようとしたり、本当に大変だったと思うんです」

ドラマ放送前までは、大阪でも五代友厚を知っている人は多くはなかったが、ディーンも「演じるまで知らなくて、大阪で銅像が建っているのを見て、そんなにインパクトのある人だったんだと初めて知った」と明かし、五代をこう称える。

「明治時代に入るときに、江戸時代の体制を壊す人はたくさんいて、そういう人が華々しく語り継がれていますけど、具体的なビジョンを持って動いていた人は五代さんを含め、数えるほどしかいなかったと思うんです。みんな、とりあえずぶっ壊したけど、どうしようみたいな(笑)。その中で政府に残らず民間に下って、大阪の重要性に気づき、適材適所で人々を盛り上げていったんです」

半年以上に及んだ“朝ドラ”の現場。演じながら、あらためて五代の生きざまに触れ、得たものも多かったよう。

「自分の国の歴史や民族が背負って来た運命に対して、感覚的に接点が持てたことは、すごく良かったと思います。何百年も前のことは教科書などで勉強して分かった気がしてましたけど、それまでは分からなかった。でも、役作りすることで人物の感情の流れを感じ、演じることが役者の仕事で、どんな思いで生きていたのかを自分の想像力や経験を総動員させて再現したつもりです。劇中の『変化の中で舵を切って、後の世代に何を残せるか』というセリフは五代さんの生きざまを表していると思いましたし、日本人として、こういう人がいたことを誇りに思いました。自分のルーツに関しての深い理解、感情的な接点を持ったことで、そういう日本人の一人になれたらいいなと思いました」

でぃーん・ふじおか='80年8月19日生まれ、福島県出身。6月22日(水)から配信がスタートするAmazonオリジナルドラマ「はぴまり」に主演。SPドラマ「喧騒の街、静かな海」('16年放送予定、NHK総合)などの出演作を控える

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