「グッドパートナー」好調の一因に主人公の人間っぽさ

2016/05/15 17:00 配信

ドラマ

第5話では、竹野内豊演じる咲坂らがセクハラ問題に切り込む!(C)テレビ朝日

毎週木曜に放送中の竹野内豊主演ドラマ「グッドパートナー 無敵の弁護士」(テレビ朝日系)。

同作は、企業法務を専門とする法律事務所を舞台に、竹野内演じる主人公・咲坂健人らビジネスロイヤーが日々企業から持ち込まれる案件に立ち向かう法務&ホームドラマだ。

初回12.9%の好スタートを切り、第2話で9.9%と10%を切ってしまったものの、第3話10.5%、5月12日の第4話は11.1%と右肩上がりに推移しており、シリーズものを除けば松本潤主演「99.9 刑事専門弁護士」(TBS系)、大野智主演「世界一難しい恋」(日本テレビ系)に次ぐ数字で、好調をキープしている。(数字は全てビデオリサーチ調べ、関東地区)

今クールは数字の面ではどの局も苦戦を強いられる中で、本作が好調な理由はどこにあるのか。

SNSなどでの視聴者の反応やドラマ通のライターをによると、まずは“ボス弁”神宮寺(國村隼)の元に大・中小企業から持ち込まれる無理難題をパートナー弁護士の咲坂(竹野内)がどう解決するのか、本当に解決できるのか、というハラハラドキドキが味わえるストーリー。

そして、何と言っても福田靖の遊び心が詰まったせりふ回しだ。当然、演出と役者の技量によるところも大きいが、例えば事務所内でどうすれば依頼人の望みをかなえられるのか、パートナー弁護士、アソシエイト弁護士、パラリーガルらが意見交換をしている時のこと。

同僚であり元夫婦の咲坂と佳恵(松雪泰子)が、相手を意識するあまり、どんどん感情的になっていき「ママはそうやっていつも…」「パパだって何も分かってない!」のように、急に痴話げんかを始め、“クールでスタイリッシュ”な2人を目も当てられない雰囲気にするメリハリある脚本は脱帽だ。

このあたり、同じ福田脚本でテレビ朝日の人気ドラマシリーズ「DOCTORS~最強の名医~」での“卓ちゃん”こと高嶋政伸のそれに近いものを感じる。あそこまでぶっ飛んではいないが、劇中の共演者だけでなく視聴者にすら「またか…まったくしょうがないなあ」と思わせる術はお見事。

また、主人公・咲坂が見せる人間らしい一面も支持される理由の一つなのではないか。

毎回、解決へ難航していく中で、「では、弁護士としてではなく、一人の人間としてお話します」と言い、弁護士バッジを外してから発せられる熱い言葉。

よくある弁護士ドラマのように理路整然と法律用語を並べ立て、完璧な証拠、あるいは証拠の積み重ねで案件を解決するのではなく、この咲坂の人間っぽさを前面に押し出した熱い言葉が決め手で解決するケースが非常に多い。

第4話でも、老舗企業の“お家騒動”を解決する際に、竜雷太演じる会長の心を動かし、お家騒動を収束させるきっかけとなったのが、咲坂の一人の人間としての話だった。そんな自他共に認める、「スタイリッシュだけど泥臭い」弁護士に共感する人が多いのかもしれない。

本作のゼネラルプロデューサーを務めるテレビ朝日の三輪祐見子氏も先日のインタビューで、「咲坂はスーパーマンではないんです」と語っている通り、完璧な人間じゃないからこそ、愛されるし、面白味があるのではないか。

また、咲坂だけでなく脇を固める人物たちも実に人間らしく魅力的だ。咲坂の直属の部下であるアソシエイト弁護士・熱海(賀来賢人)は“THE・今どきの子”で、いついかなるときも思ったことを口にしてしまい、毎回咲坂にたしなめられてしまう小生意気な男。

ただ、咲坂の熱い言葉や、咲坂にならって親身に依頼者の話を聞くうちに、ついつい感情的になっていくところや、うれしいときや驚いたときにオーバーリアクション気味に大きな反応をしてしまうあたりが、実に愛らしい。演じる賀来にとっても新境地を開くキャラクターと言えそうだ。

そして、どうも最近こういう悲哀ある役がよく回ってくるイメージのある杉本哲太は、婚活に必死な猫田弁護士を好演。咲坂らが抱える案件で重大な局面を迎えていても、ちゃっかり婚活サイトを見ていたり、クライアントには自分がとても優秀な弁護士であるというふうに取り入ろうとするサマも実に“らしさ”があり、滑稽でチャーミング。

そんな一癖も二癖もあるメンバーが集まることによって、絶妙なバランスが保たれている本作。0.1%の真実を追う弁護士や、新入社員に恋した不器用な社長にも負けず劣らずの魅力を持つ、スタイリッシュで泥臭い弁護士の今後のさらなる活躍に期待したい。

5月19日(木)の第5話は、もはや他人ごとではない「セクハラ」問題が描かれる。咲坂は桂総合病院の事務長・葛原(小林隆)から、看護師のセクハラ被害の相談を受ける。

これまでもセクハラの被害があり、葛原は咲坂に穏便に解決してほしいと話す。咲坂が佳恵に手伝いを頼み、言い合いながらも解決策を考える中、熱海の提案で他の被害者に話を聞き始める。