竹内結子&橋本愛の共演に中村監督「吹き出しそうに」

2016/06/30 22:29 配信

映画

中村義洋監督は、竹内結子、橋本愛の共演が決まった時のことを「これってそんなにきれいな映画だったの!?と、思わず吹き出しそうになった」と明かした(C)2016「残穢-住んではいけない部屋-」製作委員会

竹内結子橋本愛の初共演で話題を集めた映画「残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-」のブルーレイとDVDが、7月2日(土)に発売される。

本作は小野不由美のホラー小説を、「予告犯」('15年)、「殿、利息でござる!」('16年)の中村義洋監督が映画化した戦慄のリアルミステリー。ブルーレイ、DVD発売を前に、中村監督がインタビューに応じた。

──中村監督の最近のイメージからはホラーと結びつかない人も多いと思いますが、本作を撮ることになった経緯は?

原作の小野不由美さんが、「ほんとにあった! 呪いのビデオ」(中村監督が構成・演出を務めたビデオシリーズ)をもともとお好きだったんです。「残穢」の編集者の方が、「映画になったらいいですよね」と話していたところ、小野さんが「中村監督が演出してくれたらね」と言ってくれたそうで。それで僕の方に連絡が入って、原作を読ませていただいたんです。

──「これは映画にしたい、できる」と感じたのはどの辺でしょうか?

何かいる、原因はなんだろう、その部屋に過去に何があったんだろう、と調べていくところが、「ほんとにあった!─」に通じるところがあったんですよね。「怖い」と思うポイントが一緒だなと感じたので「やれる」と思いました。

──(原作は)読むだけで呪われてしまうんですよね。

映画にも入れましたが、「見てもたたられる、話してもたたられる、聞いてもたたられる」と普通に書いてあるんですよね。「なんだよ、もう読んじゃったじゃん!」と(笑)。映画でも、見ている人が「自分もやばいんじゃないか」と感じるようなものにしたいと考えていて、その点は脚本の段階からかなり考えましたね。

──よくあるホラー映画と違って、本作のヒロインはほとんど叫びませんね。

絶叫するためには何か起こるわけですが、この作品は脚本を書いている段階から何も起こらないんですよ。何も襲ってこない。そこは少し気になっていて、小野さんも「出たら怖くなくなっちゃいますよ」と言ってくださって、これでいこうと確信を持つことができました。

──竹内さんが演じる主人公の「私」はひょうひょうとしていて、場面によっては笑えるほどの微妙な空気を出していますね。

これは原作や小野さんご本人から受ける印象がまさにこういう感じなんです。実際に小野さんに会いに行って、旦那様の綾辻行人さんと「霊とかいたらいいよね~」と話しているのを見ていると、なんとも不思議な雰囲気なんですよ。

──監督も同じように「心霊現象とかあったらいいよね~」くらいのスタンスですか?

僕は最初、ものすごく怖がりだったんです。でも、「ほんとにあった!─」をやって1年くらいでまったく怖くなくなってしまったんですよね。結局3、4年はどっぷりホラーをやっていたのですが、何か違うなと思って断るようになりました。

──今回引き受けたのはなぜでしょう?

小野さんが映画化するなら、ぜひ僕でと言ってくれたからです。「ほんとにあった!─」はドキュメンタリーということでやっているから、誰も僕の仕事を演出として褒めてくれないんですよ(笑)。それを褒めていただいてうれしかったんです。

──竹内さんとはこれまでにも組まれていますね。

今回はこれまで自分が蓄えてきたものを全て出したいと思っていました。余計なことに神経を使いたくなかったので、信頼している人にお任せしたかったというのが一番です。原作を読むときはもう映画化前提で読んでいたのですが、途中から「私」は竹内さんで読んでいました。

──あらためて竹内さんに任せて良かった点は?

激やせメークやコルセットがすごくしっくりきていたのが良かったです(笑)。年齢的にもぴったりでした。もう少し年齢が上になると、深刻になり過ぎてしまいますから。

──橋本さんはいかがでしたか?

橋本さんが決まって、思わず吹き出しそうになりました。チラシやポスターで竹内さんと橋本さんが並んでいるのが頭に浮かんで、「これってそんなにきれいな映画だったの!?」と(笑)。橋本さんは映画が好きだから、自分のやるべきことが分かっていると感じましたね。本当にお任せでした。また一緒に仕事がしたいです。

──途中で作品の空気を変える佐々木蔵ノ介さんは?

素晴らしかったですよね。ぶち壊してほしかったので、狙い通りでした。オーディオコメンタリーでも少し話していますが、インディ・ジョーンズ風のところなど、すごく良かったですね(笑)。

──坂口健太郎さんはいかがでしたか?

彼にとってお芝居がほぼ初めてに近かったころに「予告犯」で仕事したんですが、ちょっと変わった空気があったんです。もともと坂口君がやった役は、原作ではおじさんなんです。北九州の心霊現象のことなら何でも知っているおじさん。でも、映画化するにあたり若手で行くことになって、脚本を書き直すべきかとも考えたんですが、坂口君だったらそのまま行けると思ったんですよね。実際、大丈夫でした。なぜかはうまく説明できないのですが、何か持っているんですよね。

──ブルーレイ、DVDではどのように楽しんでほしいですか?

怖いのが苦手な人は何人かで一緒に見て、びくっ!とするのもいいと思います。本当に怖いものを楽しみたい人には、ヘッドホンを使ってもらいたいですね。音にはかなりこだわって、特に畳をする音には何カ月もかけました。あとは、今回ジェットコースターがなかなか落ちない感じにしています。こんなに上がっていいの?こんなに上がったら、落ちるときどうなっちゃうの?といった感覚を味わっていただけると思います。

──今後もホラーを手掛けていきますか?

今回の作品は、観客の皆さんがどんな顔して見ているのか、後ろに座って反応を見ていたいような気持ちでした。こんなことは初めてで、それだけこれまでの作品よりエンタメ度が高くなっているのかなと思います。楽しませたい、イコール怖がらせたいという思いが大きかったです。今後はぜひホラーも撮りたいです。

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