現在放送中の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK総合ほか)に森田照代役で出演中の平岩紙。平岩に森田屋についての思いや、役者人生の中で忌野清志郎との巡り合いについて話を聞いた。
【「とと姉ちゃん」平岩紙に直撃「照代と似ているかも」から続く】
──「キッチン森田屋」はもともと「森田屋」という仕出し屋さんで常子たちの居場所になっていて、今回も常子たちがほっとできる場所というイメージがあったんですが、そういった点で意識したことや、「『キッチン森田屋』がこういう場所であったらいいな」と思っていたことがあれば、教えてください。
「いつでもおうちのように帰ってきていい場所」というふうに、いつも家族のように常子たちを迎え入れたいなっていう気持ちを持って、芝居は作っていました。親みたいな気持ちで演じていました。
──ピエール瀧さんと長い間共演されて、瀧さんの俳優さんとしての魅力をどのように感じましたか?
器が大きくて、めちゃくちゃ優しいです。スタッフさんとかキャスト皆のことをちゃんと見てくれていて、みんなが思っていることを瀧さんがまとめて監督に伝えて、みんながやりやすいように芝居を作るという、リーダー的な存在でした。大きな優しさが根底にあるから、いろいろなことに気付けるんだろうなと思いました。
──瀧さんの俳優としての技術的な部分で印象に残った部分はありましたか?
自然体だけどちゃんと考えて役作りされている感じがしました。あと音楽をやっている方が演技するのはすごく興味があって以前から好きです。
役者の中では何となくリズムがあって、キャッチボールのリズムがメソッドみたいに決まっているものがあるんですけど、音楽の人はそれをいい意味で乱してくれるんですよね。楽譜みたいに、違う音符に行ったりするような演技が、すごく面白くて。
昔、忌野清志郎さんと共演させていただいた時にも、同じように感じて感動しました。瀧さんもずっと役者をやられているから役者のメソッドも分かっているんですけど、やっぱり自由な部分がある感じが、格好いいなと思いますね。
──忌野清志郎さんとご一緒された作品についてぜひ詳しくお聞かせください。
「マンハッタンラブストーリー」('03年)というTBSの宮藤官九郎さんの作品や「恋の門」('04年)という松尾スズキさんが撮った映画では、同じシーンはなかったんですが、同じ作品に出ているなっていうのは分かっていて、でもなかなか会えなくて、という時がありました。
ある日、「恋の門」のスチール写真を忌野さんが見ていて、私が写っているのを見て「あ、俺この子すごく好きなんだよ」と言ってくれたというのを現場の方が教えてくれたんです。
それでもう、「(この先、役者を)50年はできるな」と思いました。ガソリンになったんです。大好きな人にそう思ってもらえて、しかも自分を知ってもらえているっていうのがもう、すごくうれしくて。今もたまに思い出して、元気になったりする、私の宝物です。
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