真田丸 オフロスキー・小林顕作が見た大河の舞台裏!

2016/10/18 05:00 配信

ドラマ

「真田丸」で明石全登役を演じる小林顕作(C)NHK

大河ドラマ「真田丸」(NHK総合ほか)10月16日放送では、真田幸村(堺雅人)がついに九度山を脱出、懐かしい大坂城に入った。10月23日(日)放送からは、そんな幸村と共に、大坂の陣を戦う五人衆のキャラクターが描かれる。

その中で、幸村を大坂城に招いた明石全登役の小林顕作を直撃。幼児向け番組「みいつけた!」(NHK Eテレ)の人気キャラクター・オフロスキー役でも知られる彼が、「出ることはないと思っていた」という大河の現場で感じたことを語ってくれた。

――まずは、出演が決まった経緯を教えてください。

知り合いのプロデューサーから連絡をもらったのですが、そのときはまったく信じられなかったですね。「とにかく一回、NHKに来て!」と言われて行ったら、本当にプロデューサーの家冨(未央)さんがいて、NHKの玄関で説明を受けたんです。

なぜ僕なのかを聞いたら、家冨さんも三谷(幸喜)さんも、お子さんと一緒にオフロスキーを見ていて、僕がオフロスキーとして歌った「じだいげきだよ オフロスキー」という曲が、今回のキャスティングにつながったそうです。

――それは、すごい偶然ですね。

本当に、宝くじに当たったような気持ちです。その曲を作ったのも、時代劇が民放であまり放送されなくなって、寂しさと勝手な使命感から、子供たちに「時代劇」に興味を持ってもらおうとしたんです。どこまで浸透したのかは分かりませんが、三谷さんも家冨さんも見ていたということなので、当時の子供たちは面白がってくれたのかなと思います。

――大河ドラマにはどのようなイメージを持っていましたか?

自分が出るようなものとは、全然思っていませんでした。そういうところを目標にしたこともなくて、だから当然「そのためには、もっとドラマに出よう!」という考え方にもならない(笑)。僕にとっては、今、Eテレでやっている仕事がとても大切なので、他のドラマに出てイメージを崩したくないんです。

ただ、自分にこの役を、と思ってもらえることほどうれしいことないですし、ご縁だと思ったので、「一生懸命やらせていただきます!」とお返事しました。

――三谷さんからは、全登役についてリクエストはありましたか?

撮影に入るまで一切なかったんですよ。でも、撮り始めてから少し経って、新幹線に乗っていたら、知らない番号から電話がかかってきて。出てみたら「三谷です」と。

それまで撮っていたものを見たそうで「駄目、あんなのじゃ!硬い、硬い!」といきなり駄目出しを受けたんですね。それで「いやいや、僕何も聞かされてないんですよ」と言ったら、「僕、ちゃんとキャラクター設定伝えたんだけどなぁ」とおっしゃるので、聞いてみたら「魔界転生知っていますか?あれのジュリー(沢田研二)で!」と、それがリクエストでしたね。

すでに何シーンか撮っていたので「じゃあ、つながりもあるので、徐々にジュリーで…」とお返事したのですが、とにかく出来ることといえば声を張ることかなと思って実践しました。堺さんが、ささやくようにせりふを言うことが多くて、周りの方の声のトーンも自然と抑えたものになるのですが、僕がそこで大きな声を出すと面白くなるかな、と。堺(雅人)さんにも(哀川)翔さんにも「声がでかい」と、うるさがられていますが…(笑)。

――それ以外に役作りでしたことはありますか?

オファーを受けたときは、明石全登について何も知らなかったので、ネットで調べたり、ファンの方にもらった本を少し読んだりしました。でも、彼は調べてもよく分からない部分が多いんですよね。なので、台本に書いてあることと、共演者の皆さんと僕の関係性から作り上げています。

たとえば、他の方がそうしているからといって、一緒にいきり立った感じのお芝居をすると、岡本(健一)さんに「それ、やりすぎじゃない?」とツッコまれたり、堺君に「そういうことやると埋もれるから」と言われたり…皆さんから演技指導が入るんですよ(笑)。

――全登に共感する部分はありますか?

似ているなと思うのは、今本当にやらなくてはいけないことより、他のことを優先させてしまうところですかね。僕は、先に決まっていた約束を絶対に優先させるので、偉い人との飲みの席があっても断ってしまうことがよくあるんです。「それ、今日じゃなくても良くない?」とよく言われるんですが…。それから盛大な飲み会が苦手で、中心で話さないといけないポジションでも、しれっと帰ることがよくあります(笑)。

――キリシタンというのも全登の重要な要素かと思いますが、演じる上で意識したことはありますか?

信仰心ですね。讃美歌を歌うシーンがあるので、覚えてくださいと言われたのですが、これが節も歌詞も覚えにくくて。どこに行くにも、ずっと聞きながらぶつぶつ歌詞を唱えて、一週間ぐらいかけてようやく頭に入ってくるようになったんです。

そうしたら、不思議と気持ち良くなるんですよ。祈りの言葉もそうですが、「ああ、こうやって人は宗教に入ってくのか」と思いました。僕は宗教をやっていないので、あの感じは新鮮でしたね。

――全登は、九度山まで行って大坂の陣参戦を訴えるなど、幸村に並々ならぬ思いを持っているようですが、その真意はどこにあるのでしょうか

彼はキリシタンで、キリスト教を守ることが目的ですから、そのために鍵になる人は幸村しかいないと思ったんでしょう。この人を連れてこないと豊臣は駄目になる、と。でも、彼自身は、“徳川にはキリスト教を守る気がないから、豊臣しかいない”というだけで、特に豊臣への忠誠心が篤いわけではないんですよね(笑)。

――そんな幸村を演じる、堺さんとの共演の印象を教えてください

とにかくフレンドリーで、ものすごく気を配ってくれる人です。二人とも小劇場出身、もう20年前くらいから互いに名前は聞いていたんですよね。彼は当時、早稲田の演劇研究会にいて、劇団「東京オレンジ」の旗揚げに参加して、僕はコンドルズとして活動をしていて…。お互いの舞台をちゃんと見たわけではないですが、共通の知人はとても多いので、自然と彼らの近況の話になりましたね。

あとは、「あの照明って、いくらくらいするのかな?」って(笑)。僕は脚本も演出もやるので、どこにいくら金が掛かるとか、すごくうるさいんですよ。「全部LEDにしたら安いんじゃないの?」とか勝手なことを言っていたのですが、聞いていたスタッフさんが「明かりの感じが、LEDとは全然違うんです!」と言っていて、「格好いいなぁ」と思いました。

――それ以外に、現場スタッフの姿で印象に残ったことはありましたか?

「やっぱり、ピリピリしているのかな…」と思っていたのですが、「こんなに、やさしい人たちがやっているのか」と驚きました。とにかく、皆さん“いい絵が取りたい”という人ばかりで…そういう現場って、演者以上にスタッフの方が楽しそうに見えるんですよ。

たとえば、仕事に追われて「時間ないぞ!」とか言いながら、きびきび動いていくのが本当に格好良くて…。そんなとき僕はよろいを着たまま待っているのですが、全然気にならないですよね。それで、何の撮影が押しているのかなと見たら、柿が揺れるシーンを撮っていたりするんです。何か無駄があるのではなくて、こだわっているから時間がかかるんですよね。感動で泣きそうになってしまって、「いつまででも、待つわ!」と思いました(笑)。

僕なんかが、きれいに衣装を着せてもらっておいておこがましいですが、本当に「こっち(スタッフ側)をやりたい!」と思うくらい、うらやましかったです。

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