おしん

希望(野村万之丞)の工房の新築祝いが行われ、多くの人が集まるにぎやかな催しとなる。皆が帰った後、浩太(渡瀬恒彦)はおしん(乙羽信子)とともに、希望を産んですぐに亡くなった加代(東てる美)の思い出を語り合う。程なくして、スーパー田倉では歳末大売り出しが始まるが、道子(浅茅陽子)は一度も店に姿を見せなかった。

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おしん(乙羽信子)は道子(浅茅陽子)の実家を訪ね謝罪するが、道子の母・波江(今井和子)からひどい言葉を浴びせられる。仁(高橋悦史)からも苦言を呈されたことで、おしんは仁を育てた自らの責任を痛感していた。一方でおしんは、仁が人一倍物に執着するのは、貧しい中で奮闘する自分の姿を見てきたからなのではと考える。

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若き日の仁(高橋悦史)と百合(寺田路恵)の関係を知った道子(浅茅陽子)は、子供たちを連れて名古屋の実家へ帰ってしまう。百合の死に加えて起きた出来事に、おしん(乙羽信子)は二重のショックを受ける。仁から「これは夫婦の問題だから」とくぎを刺されたおしんだったが、放っておくわけにはいかないとある行動に出る。

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希望(野村万之丞)の妻・百合(寺田路恵)が、新築の家へ引っ越す前夜交通事故に遭い他界する。4歳の息子・圭(岩淵健)が残され、母を失った幼い圭の姿が葬儀の参列者の涙をさそう。そんな中、百合の死をきっかけに、仁(高橋悦史)と百合の関係が道子(浅茅陽子)に知られてしまい、道子は子供を連れて実家へ帰ってしまう。

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希望(野村万之丞)の窯と作業場が出来上がり、新居も完成する。久しぶりに希望と百合(寺田路恵)を訪ねたおしん(乙羽信子)と初子(佐々木愛)は、二人の幸せそうな顔を見て、無理をしてでも建てたかいがあったと喜び合う。だが、帰宅した二人は、先ほどまで一緒に食事をしていた百合が交通事故で入院したことを知らされる。

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おしん(乙羽信子)の反対により、チェーン店の新設が遅れたことにあせっていた仁(高橋悦史)は、おしんの許可を待って2号店と3号店の建設を同時に進めることに。おしんの財産を全て投じるこのチェーン展開は、田倉商店にとって2度目の大きな転機だった。時を同じくして、希望(野村万之丞)の窯と住居の工事も進められていた。

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ある日、包丁を持った女性が、店内で「社長に会わせろ」と騒ぎ出す。女性は「田倉の社長が私をだまして、家や土地を奪った」と主張。実際には合法的だったが、仁(高橋悦史)が独断で行ったことだった。仁の頬を殴りつけ、女性に平謝りしたおしん(乙羽信子)は、店の経営方針について仁と考え方が決定的に違うことを痛感する。

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希望(野村万之丞)の作品が展覧会で特選を受賞したのをきっかけに、おしん(乙羽信子)は何とか希望を陶芸家として独立させたいと考えていた。40年近くにわたり一人で背負ってきた加代(東てる美)との約束を果たす時がようやく訪れたことに、おしんは感無量となる。そして、無心でろくろを回す希望の姿にある思いが去来する。

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おしん(乙羽信子)は、希望(野村万之丞)に窯を持たせてやることを条件に、仁(高橋悦史)らの進めるチェーン店化を許可する。そんな中、希望の作品が展覧会で特選を受賞したという知らせが入る。貧しさに耐えてろくろを回し続けてきた希望と、希望を支える百合(寺田路恵)の姿を見てきたおしんは、希望の受賞を何よりも喜ぶ。

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昭和42年(1967年)秋、おしん(乙羽信子)は67歳になり、田倉商店は従業員20名を擁する大店舗になっていた。仁(高橋悦史)や辰則(桐原史雄)はチェーン店を出すようおしんを説得するが、堅実さを重視するおしんは店の新設に反対していた。だが、二人の説得に根負けしたおしんは、あることを条件にチェーン店の新設を認める。

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仙造(長門裕之)が初子(田中好子)の縁談を提案する。だが、嫁という他人が家に入ることで起きる家族関係の難しさと煩わしさを思い知ったおしん(乙羽信子)は、その申し出を断る。一方、「妊娠中の体では十分に大家族の面倒を見ることはできない」と考え、実家へ帰っていた道子(田中美佐子)は、いよいよ臨月を迎えていた。

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禎(浅沼友紀子)は辰則(渡辺寛二)に、「店のオープン準備の際仕事に打ち込む姿に惹かれた」と再度告白。誤解が解けたことで、二人は結婚することになる。一方、妊娠5か月を過ぎた道子(田中美佐子)が田倉家へ帰ってくるが、ひと月も経たないうちに実家へ戻ってしまう。おしん(乙羽信子)は、そんな道子に呆れるばかりだった。

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禎(浅沼友紀子)は辰則(渡辺寛二)に、自分と結婚する意志があるか尋ねる。おしん(乙羽信子)が辰則との結婚に反対していることから、自分から告白したのだった。だが、辰則は取り合ってくれないばかりか、急に冷たくなってしまう。辰則が結婚の申し込みを喜んでくれると思っていた禎は、意外な結果に失望を隠せずにいた。

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突然名古屋から帰ってきた禎(浅沼友紀子)は、「大学を辞める」と言ったきり店のレジへ入り、おしん(乙羽信子)は何があったのかと不安になる。その夜、禎はおしんと仁(山下真司)に、「大学を辞めて一生田倉の店で働きたい」と切り出す。新店オープンの際に店を手伝った経験から、働くことのすばらしさを実感したと明かす。

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仁(山下真司)は、田倉家のために禎(浅沼友紀子)と辰則(渡辺寛二)を結婚させようと考えたが、話は立ち消えになり、おしん(乙羽信子)は胸を撫で下ろす。一方で、田倉商店は銀行からの借金を返すのが精いっぱいで、禎の学費や下宿代の工面も難しい状態だった。おしんは名古屋に戻った禎から連絡がないことを心配する。

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田倉商店は市価より安い商品が人気を呼び、売り上げは好調なすべり出しを記録する。一方で、安売りだけに利益は薄く、おしん(乙羽信子)は銀行からの借金返済に頭の痛い日々を送っていた。そんな中、仁(山下真司)は店を手伝ってもらうために呼び寄せた辰則(渡辺寛二)と、妹の禎(浅沼友紀子)を結婚させたいと言い出す。

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田倉商店の開店記念セールの3日間は、好評のうちに幕を閉じた。一方で、近隣の商店街から安売りへの反発を受けたおしん(乙羽信子)は、翌日からの1か月間も開店記念セールと同じ値段で辛抱しようと提案する。そこには、「電車やバスで遠くから来てくれたお客さんに、お得意さまになってほしい」という強い思いがあった。

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昭和31(1956)年3月、田倉商店は、当時まだ少なかったセルフサービス方式の店としてオープンし、おしん(乙羽信子)は感慨で胸を熱くする。開店初日は大勢の客でにぎわい、順調なスタートを切ったが、安売りに対して商店街から反発も生じていた。そんな中でも、おしんは誰にも頼らず、田倉の商売をしようと決意する。

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新店のオープンを2日後に控える中、道子(田中美佐子)の妊娠が発覚。おしん(乙羽信子)らがオープンの準備に追われる中、道子は母親と共に名古屋の実家へ帰ることになる。おしんは「つわりなど病気ではない」という考えでやってきたが、道子は妊娠を口実に「田倉家の嫁としての地獄からようやくぬけ出せる」と考えていた。

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おしん(乙羽信子)と道子(田中美佐子)の対立は、日増しに激しくなっていた。食事の献立をめぐり道子と口論になった日、おしんは仁(山下真司)から「もっと生活費をたくさん渡してほしい」と言われ、腹立たしさを募らせる。幸せを金でしか買えない時代になったと悟ったおしんは、店のオープンを前に新たな決意を固める。

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