86-エイティシックス-のあらすじ
【最終回】各国が持ちうる技術の全てを結集させ、モルフォの討滅作戦へと臨む。その先鋒を担うは“エイティシックス”の少年少女たち。しかしモルフォへと至る道は、幾度となくレギオンの攻撃によって阻まれる。一人でも多く先へと進ませるため、囮を引き受け次々と減ってゆく仲間たち…。彼らが身を賭して切り拓いた道の先で、ついにモルフォと対峙したシンだったが…。
先の大攻勢、そして対モルフォ戦でのシンの異変。かつての兄との闘いをほうふつとさせる危うさを滲ませはじめたシンに、ライデンはフレデリカを連れて退くよう告げる。連邦で得た新たな仲間を失い、再び負うこととなった「死神」としての役割。自らを託したレーナの生存も絶望的となった今、拠り所を失いゆくシンを繋ぎとめるものは…。
故郷を、家族を守るため、連邦軍は退かない。前線で死闘を続ける彼らの様子は、無線を通してシンたちのもとにも届いていた。“エイティシックス”たちが活路を開くと信じ、散っていく兵士たち。しかしナハツェーラーの進路にも、回避できない“レギオン”の軍勢が立ちはだかる。戦闘を避けつつ、シンたちを“モルフォ”の元へと送るためグレーテは…。
大規模攻勢をしのぐも、突然の長距離砲撃により、じん大な被害を受けたギアーデ連邦の前線部隊。敵の兵装は「電磁加速砲」と推定された。かつてシンたちスピアヘッド戦隊を半壊させた、フレデリカの騎士…強力な“レギオン”に、連邦はある決断を下す。明日訪れるかもしれない死への緊張感に包まれる連邦軍人たちの中、シンはどこか心ここに在らずな様子で…。
特士校を卒業後、シンたちはその優れた戦闘力から、それぞれ別部隊の救援へと駆り出される毎日を送っていた。久々に本拠地へと集められた彼らは、グレーテから、近く“レギオン”の大規模攻勢が予測されていることを聞かされる。既に“レギオン”の動向を察知していたシンは、軍勢がグレーテたちの予想をはるかに超える数であることを上申するが…。
特別士官学校への入学を決めたシンたち。かつてスピアヘッド戦隊として過酷な戦場を生き抜いてきたシンは、特士校でもその戦闘能力を発揮し、周囲を驚かせる。しかし、戦闘慣れした“エイティシックス”であるシンに向けられる視線は、決してあたたかなものだけではなかった。そうした状況のなか、配属先の部隊でシンは、図書館で出会った青年・ユージンと再会を果たす。
ギアーデ連邦に保護されてひと月。シンたちは、アルバイトをしたり、料理教室に通ったりと、「普通の少年・少女」としての日々を送っていた。街のそこかしこに広がるのは、彼らが今まで過ごしてくることのなかった「平穏な日常」。しかしそれを見つめる彼らの表情はどこか晴れない様子で…。思い思いに街の様子を見聞きして過ごした彼らは、ある決意を固める。
あの別れから半年。軍の迎撃砲を無断使用した咎により、少佐から大尉へ降格となったレーナだったが、シンたちスピアヘッド戦隊の遺志を胸に、新たな部隊で、今も絶え間なく続く“レギオン”との戦いの指揮を執り続けていた。そして「特別偵察任務」の中で、“レギオン”との交戦の末に戦地に倒れたシンたち。深手を負いながらも意識を取り戻した先で、彼らを待ち受けていたのは…。
自らの誇りと、散っていった仲間たちへの誓いを胸に、彼らは最後まで歩みを止めない。武器弾薬を使い果たし、長らく付き添ったファイドが大破し、失われても。そうして彼らは、最期の場所へとたどり着く。一方共和国に残されたレーナは、ついに彼の地へと降り立つ。パラレイド越しではない、本物のスピアヘッド戦隊基地で、彼女は微かに残る隊員たちの気配に触れる。
「羊飼い」との戦いを経て、その先へと歩み始めた隊員たちは、ついに共和国の管制から外れた。戦いを強制されることのなくなった環境下で、先を急ぐ旅でもないのだと自然の移ろいを楽しみながら、あてのない前進を続ける隊員たちとファイド。しかしレギオンの脅威は常に彼らのそばにあった。旅のさなか、ファイドから近くに街があることを聞き、様子を伺いに立ち寄ることにした隊員たち。そこでシンは、ある声を耳にする。
ついに「特別偵察任務」を開始した生き残りのエイティシックスたちの元に、シンの名を呼ぶすさまじい声が届く。思わず身震いをする隊員たちに、レギオンをやり過ごしながら森の中を進むよう告げ、ひとり「羊飼い」との戦闘に挑もうとするシン。肝心な時に頼ってくれないシンに少し虚しさを覚えるライデンだったが、他の敵を引き受けて共に戦うことを選ぶ。「羊飼い」の指示によってシンからも引き離され、次々と迫りくる膨大な数のレギオンを前に息をのむ隊員たち。そこへパラレイドがつながる。
シンから告げられたスピアヘッド戦隊の真実。そんなスピアヘッド戦隊に課される「特別偵察任務」。その存在を知ったレーナは、どうにかして任務を止めるべく、助力を求めにアネットの元へと向かうが、「自分にできることは何もない」と一蹴されてしまう。なおも食って掛かるレーナに、ついに怒りを露わにしたアネットは、かつて隣人であった「とある一家」と、“レイドデバイス”の真実について語り始めるのだった。