中島「優越感はありました(笑)」
――序盤は幸せそうな2人のデートシーンが満載ですが、お気に入りのシーンはありますか?
中島:映画館のシーンは、実際にこういう場所にデートに来られたら楽しいんだろうなと思いましたね。その楽しさを味わっていました。
松本:こんなデートができたら楽しいだろうね、2人はかわいいねって話していました。
中島:早朝3時くらいに渋谷に集合して、そこから撮影したんですね。こんな早くから渋谷を駆け抜けていることへの優越感はありました(笑)。すごく気持ちよくて思い出に残っています。
松本:すごく楽しそうだった!
中島:いや、お互いにね!?
松本:あとは駅のシーン。夜に現場に入って、朝までの撮影だったよね。
中島:予告編でも使われている、美咲さんが電車に乗って思いを伝えるシーンね。あれは、そのまま電車を走らせているし、始発までという限られた時間だったので1度しか撮れないという緊張感のある撮影でした。
松本:ぜいたくな時間だったね。
――デートシーンはアドリブだったんですか?
松本:ほぼアドリブでした。
中島:監督からちょっと注意されたのが、アイスクリームの舐め方ぐらいでしたね(笑)。
松本:「晴人くんはアイスクリームをきれいなマルの形に舐めてください」っていう演出がありました(笑)。横で一生懸命舐めているところから始まりました。
中島:あのシーンは良かったよね。晴人くんの性格的に、そういう食べ方のほうがいいんじゃないかってなって。
松本:晴人くんの良さが出てました!
中島:でも僕もそういう食べ方をするかも。形作るのが好きなので(笑)。
――今作は、自分の出演シーンの台本しか渡されないという、特殊な撮影だったそうですが?
中島:個人的には、すべての物語を知った状態でのお芝居はやりづらいんです。自分の台本部分しか読みたくないくらいなので、今回はその願いがかないました。演じやすかったし、ナチュラルな感情に最速でたどり着けた気がします。
晴人くんが生活している時間軸と、美咲さんが生活している時間軸というお互いの世界線があるので、そこを知ってしまうと美咲さんのことを思いながらお芝居してしまう可能性がある。それを監督が懸念してくれたんですかね。出演シーン以外の台本を読んでいないと、撮影で会ったときに予期せぬ表情が生まれるんです。想像で美咲さんを愛せるのが、あの台本の素晴らしいところですね。
松本:私は、監督から違う作品で頂いた言葉で、「全体を何回も読んでから入ってほしい」と言われていて。全体の流れを分かった上で役割をきちんと理解して演じることが正解だと思っていたんです。でも、今回は違って、そんなに器用じゃなくていいんだな、考えなくていいんだなっていうのは教えていただきました。狭い視野で役のことを考えるというやり方が、今回はすごく良い方向に行きました。
――確かに現実の生活では、“会わない時間”は誰が何をしているか分からないですもんね。
松本:好きな人がいて、その人が何をしているか分からないからこそ不安な気持ちが湧いてくるじゃないですか。それを想像する時間が、演じる上でこの役は大事だったんだろうなと思いましたね。美咲の病気が進行してからは、私たちが顔を合わせないように周りのスタッフさんも気遣ってくれたんです。なので、シーンで初めてお互いを見るし見られるしっていう感じでした。
中島:だから、再会のシーンは緊張したよね。
松本:緊張して(心臓が)バクバクした!
中島:それぐらい俳優の心境をちゃんとくみ取ってくれる現場だったので感謝していますし、見ている方にも伝わるんじゃないかなと思います。
松本「かわいい2人だなって」
――2人が感じた、晴人と美咲の関係性の魅力は?
中島:遅めの初恋というか…(笑)。
松本:ピュアさががわいいなって思いますよね。
中島:耳を切られて、包帯ぐるぐる巻きになりながら「僕とデートしてください」って勇気を振り絞る。大胆ですよね。
松本:美咲はめっちゃ泣いているし(笑)。かわいい2人だなって。
中島:プレゼントを渡すとか、小中学校の恋愛みたいでしたね。
松本:私自身だったら、あんな恋愛はできないだろうなって思いました。美咲を通して体験できた感覚でした。
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