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小倉唯が語る、10周年からのリスタート。『Love∞Vision』インタビュー

2022/12/26 20:00

小倉唯
小倉唯※提供写真


ファンの方と信頼し合いながら、楽しみながら、一緒に思い出を作っていけたら


――先ほど少し話が出ましたが、カップリングの“Precious.”は自身で作詞をされていて、ある意味自分に問いかけるような内容になってますよね。この曲の歌詞を書いたことで、ご自身の中に生まれた発見や新しい視点はありますか。

小倉:今まで作詞をするときは、かわいらしい曲調の楽曲に言葉をハメることが多かったですけど、今回そういう意味ではちょっと真逆というか、カッコいいメロディにちょっと強めの言葉を織り交ぜていく作詞で、今まででトップクラスに難しかったです。プロデューサーの方には「こういう曲調の作詞、すごく向いてる」って褒めていただいて(笑)、そこは自分の中でも新発見でした。やっぱり、いわゆるアイドルソングみたいなかわいい曲のほうが、自分が作詞する上で向いてるのかなって思い込んでいたんですけど、ちょっと強めの楽曲にもチャレンジできたことは新しい発見だったし。少し強めのメッセージを歌詞で体現してみたいなって思います。

――“Precious.”の歌詞を読んでると、この人は言いたいことがたくさんあるんだな、伝えるべき思いがしっかりあるんだな、という印象は伝わってきますね。

小倉:そうですね、“Precious.”には自分自身からの言葉もありつつ、達観した強い女性像の要素も取り込んでいます。曲の力を借りて、背中を押せるような強さを表現できたらいいな、と思いました。

――3曲を通して、10年間歩んできた蓄積はアウトプットできた感覚があるんじゃないですか。

小倉:あります。3曲それぞれまったく違う表現だと思いますかが、上手く1枚のシングルにまとめられたと思っていて、そういう意味では手応えも感じつつ、歌詞を自分が書いて、歌って表現したときにどれだけ説得力が出せるのかは自分次第なので、ただこの歌を歌いました、ただ作詞をしました、というよりは、今までの積み重ねがあるからこそ自分を体現できたと思います。

――改めて、10年ってすごいですよね。音楽活動が始まったときは、高校生だったわけで。

小倉:ほんとにそうですね。当時はその後どうなるか、想像もしてなかったです。

――もちろん一言でまとめられるのは難しいと思いつつあえて聞きますが、音楽活動を続けてきたこの10年って、どういう時間だったと感じてますか。

小倉:ある種、声優としてもアーティストとしても人間としても、自分が構築された10年間だった気がします。この10年間、音楽活動をしていなかったとしたら、たぶん今の自分はいなかっただろうなって思いますし、音楽活動をしてたからこそ今の自分があるんだなって実感しますね。

小倉唯
小倉唯※提供写真

――10年間音楽活動をしてきたから生まれた自分って、たとえばどういう側面ですか?

小倉:わたしはもともと人前に立つのが全然得意じゃなくて、ライブをするのも最初はほんとに怖かったんです。歌もまったく自信がなかったですし。でも、ファンの方がめげずに応援してくれたから(笑)、自信を持って――それは音楽活動だけに留まらず、人としても少し自信を持てる要素になっていたのは、間違いないです。

――10年前は自信が全然なかった。

小倉:全然なかったです。わたし、「自分はもうこの仕事じゃない未来に就こう」と思っていたので(笑)。

――それはいつ頃の話?

小倉:学生のときはそう思ってました。だから大学にも行って、将来的には全然違う仕事に就こうと思っていた時期もあって。それが、逆に今は続けて頑張っていこうっていう気持ちになっています。それは、自分でもビックリしていて。

――いつ頃まで、別の仕事も視野に入ってたんですか。

小倉:学生のときはずっとありました。大学に行く中で、ちょっとずつ変化していった感じです。当時は不思議でいっぱいで、「なんでわたしのためにこんなに人が集まってくれるんだろう」と思っていました。でも、当時から仕事に対しての責任感は持っていましたし、歌って踊ることは好きだったので。ただ、好きなことと、仕事で見せることは別じゃないですか。そこのプレッシャーは強く感じていました。だから、自分と常に戦っていましたね。今は、当時より視野も考え方も広がって、柔軟になったと思います。

――以前は頑なだったんですか。

小倉:う〜ん……当時は、解決策がわからなかったんですね。今は、「なんとなく自分でこうしたら今の不安な点は解消できる」というのがあって。そうやって、自分のことがちょっとずつわかってきました。当時は目の前にあることをとにかく一生懸命やることだけで精一杯だったし、それが正義だと思っていました――今でもその名残は、全然あります。

――そこから生み出される表現やパフォーマンスをいろんな人が見て、喜んでくれて、支えてくれたから、今この10周年を迎えられている、という側面もあると思います。これからも一緒に歩んでいく、音楽やパフォーマンスを受け取ってくれる人に対して、どのように感じていますか。

小倉:やっぱり感謝の気持ちが大きいですし、常にわたしが表現するものに対して、皆さんは繊細で的確なリアクションをくださるので、ある意味皆さんも研ぎ澄まされているんだなって思っていて。全部見透かされちゃうと思うので、自分もより真剣に届けていきたいですし、自分が何かを表現したり頑張って活動していく姿をお見せしたりすることで、もし勇気や元気をもらえる方がいるのであれば、それはすごくありがたいことだと思います。ファンの方とアーティストって、お互いに支え合うような関係性だと思うので、そこにおいてはこれからも、いい意味で信頼し合いながら、楽しみながら、一緒に思い出を作っていけたらいいなって思います。本当に、皆さんがいつも味方でいてくださることを感じていますし、その優しさに救われていて。だからこそ、皆さんからの期待に応えていきたい気持ちはすごく強いです。


取材・文=清水大輔

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

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