松村さんは凡人のふりをした天才
――キリエが歌唱中に着ている青いワンピースも印象的で、そのワンピースがある意味キリエにとってのアーティストとしてのスイッチでもあったと思います。アイナさん自身もステージに立つとき切り替えとして行うことはありますか?
あまりなくて…。この質問をいただくといつも「やばい、どうしようかな」となるのですが(笑)。でも、体をバラバラにすることですかね。アイソレーションみたいな、体をほぐすみたいなことをすればするほど、リラックスはできるので、本番前は一生ストレッチをしています。
――ステージでのパフォーマンスを見ると想像できないのですが、緊張はされるタイプですか?
する時はすごくするんですけど、しない時は全然しないんですよね。自分でもコントロールできないです。特別な舞台だからという理由で緊張していることもありますし、自分の心がすごくざわめいてる日ってありませんか?生きていて「なんか今日しんどいな」とか、大人になればなるほどあるなと。
そういう日は、友人の前で歌うカラオケでも緊張して汗をかいたりとか…ざわめきっていうのはコントロールできないんです。なので、そこは上手く付き合っていかなきゃなと思います。
――ちなみに、映画の撮影中は緊張していましたか?
松村さんとのシーンは、 緊張した時もありました。でも不思議と、スタートって言われると緊張しなくなるんです。スタートがかかると。キリエのマインドにのめり込めます。 松村さんも松村さんで、THE俳優みたいな方で、役にのめり込んでくださるので演じやすかったです。松村さんは凡人のふりした天才だと思いますね。いや、凡人のふりもしてないかもしれませんが…(笑)。
――松村さんと広瀬さんは、タイプは違うかもしれないですが、役への入り込み方っていうのを目の当たりにされたんですね。
そうですね。すずちゃんは自由気ままな天才って感じで、テイクを重ねていくうちに、全部少しずつニュアンスが変わっていくというか、 竜巻みたいなお芝居をされるます。周りの人を巻き込んで、1人よがりの芝居を一切しない。それも天才だなと思いました。
――広瀬さんは撮影が終わったあとも、1年間アイナさんとの写真を待ち受けにしていたと聞きました。広瀬さんと撮影以外の印象的なエピソードはありますか?
お芝居をしている時はもう圧倒的に大先輩で、ずっと敬語で話していたぐらい、距離感を取ったまま撮影期間は終わったんですけど、たまに急に天真爛漫な妹のような表情を見せてくれるんです。部屋中を軽く駆け回って、 いろんなところの写真撮って、ケラケラ笑っていて、明るくて。そういう姿を見せてくれた瞬間に、心開いてくれた感じがして、うれしかった記憶があります。
2023年10月13日(金)全国公開
【原作・脚本・監督】岩井俊二
【企画・プロデュース】 紀伊宗之(『孤狼の血』シリーズ『シン・仮面ライダー』『リボルバー・リリー』他)
【出演者】アイナ・ジ・エンド 松村北斗 黒木華 / 広瀬すず
【制作】ロックウェルアイズ
【配給】東映