俳優の広瀬すずが10月14日、都内で行われた映画「キリエのうた」公開記念舞台あいさつに、主演のアイナ・ジ・エンド、共演の松村北斗(SixTONES)、メガホンをとった岩井俊二監督とともに登壇した。
「お腹の底にドンと落ちてくるような魂の叫びみたいな表現」
「監督:岩井俊二×音楽:小林武史」による新たな映画「キリエのうた」は、壮絶な運命と無二の歌声を宿したキリエの音楽がつなぐ13年に及ぶ壮大な愛の物語。降りかかる苦難に翻弄(ほんろう)され、切なくもドラマティックに交錯していく男女4人の人生を描く。
過去を捨て、名前を捨て、キリエのマネジャーを買って出る謎めいた女性・一条逸子(真緒里)を演じる広瀬は、本作が公開された心境を尋ねられると「クランクインは雪の中でアイナちゃんが1人で歌い始めるシーンからだったんですけど、自分だけが聞いていた声が、いま全国に届き始めていて本当にすごいことだなって」と目を輝かせた。
続けて、「きっとみなさんにグサグサと、心に刺さるというよりお腹の底にドンと落ちてくるような魂の叫びみたいな表現は、きっといろんな方に届くんじゃないかなと思って、ここにいる(鑑賞後の)みなさんには届いているだろうなと、顔を見て確信できてうれしいですね」と笑顔を見せた。
「長文の謝罪メールをアイナちゃんに送りました」
また、第28回釜山国際映画祭に参加した感想を求められた広瀬は「映画愛に溢れている方が多くて、いろんな角度の鋭い質問が多かったのが印象的で、監督のことを小学生の頃からずっと追って見ていましたって記者さんがいらっしゃったり、すごくいい忘れられない景色だなって思う時間でしたね」としみじみと語った。
さらに、本作を初めて見た際に「自分もちゃんと撮影したなって記憶だったんですけど、自分が出ていないシーンでストーリーが何個もあるじゃないですか。そこに衝撃的なみなさんのお芝居であったり、撮り方であったり、イチ視聴者としてズトーンと受けたんですけど、裸になったような姿でキリエが歌い続けている姿に、なんかわからないですけど救われたような気持ちになりました」と吐露。
「でも、逸子として“すごいじゃん、(キリエが)振り回されすぎて”って思って、罪悪感が生まれてしまい、長文の謝罪メールをアイナちゃんに送りました」と告白。アイナは「『私がいないシーンでこんなに大変なシーンがあったのね。ごめんね』って。いい人やなって(笑)」と声を弾ませた。
◆取材・文=風間直人