――本作はセックスワーカーに焦点を当てていますが、そこにはどんな思いが込められているんですか?
山田「これは私の創作の原点にも通じることなのですが、私が一番苦手で一番好きなものが“人間”なんです、とても不条理なんですけど(苦笑)。
当時、匿名で書かれた記事やブログを頻繁に読んでいて、その中でセックスワーカーの方が職業への想いや、自身の過去について書いていたんです。その時に『きっと彼女たちは、誰かと向き合ってこれらのことを喋らないんだろうな……』と。それが(セックスワーカーというテーマに)惹かれたきっかけの一つですね」
――今回の映画版のキャスティングについては、どの程度かかわられたんですか?
山田「内田さんが『作品には何も言わない。プロデューサーとしての決めごとは俺に委ねてくれ』って言って下さったんです……なのでお任せしていた部分が大きいです!最初にカノウ役に伊藤沙莉さんの名前が挙がったのですが、もともと私の中でも沙莉さんのイメージでしたし、沙莉さんも台本を読んで『演りたい』と言って下さったので、願ってもない!という中でカノウ役は伊藤沙莉さんに決まりました。
キャスティングをお任せすると言っても、私が好きな役者さんや興味のある役者さんをキャスティングしてもらえたりと、委ねていたけど凄く尊重してもらったキャスティングだったと思います」
――これから描いてみたい人物たちやテーマについて、今浮かんでいるものを教えていただけますか?
山田「派手な所にいる人たちよりも、評価を得られていなかったり、自分自身の理想通りに進めていないとか、葛藤している人間に私は美しさを感じるんです。人としてその方が生々しい。人って対外的に見せたい部分があると思うんですけど、その“見せたい自分ではない自分”と向き合ってる時間にこそ、凄くドラマがあると思っているんです」
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