――劇中で新左衛門と“竹馬の友”である半兵衛を演じられた高橋克典さんとは、親交が深いと伺いました。
幼なじみというのはおこがましいですが小学校からの先輩で、“竹馬の友”として共演させていただけたこと、うれしくございました。
普段は「克典さん」「幸二」(芝翫の本名)と呼び合う仲ですが、相対して芝居することは初めてでございます。
この作品の撮影を通して自分でもわかったんですけど、僕は子供のころから克典さんに嫉妬していたなと。学校でも後光が射してましたからね(笑)。今のまま小学生!生まれた時から自然体でかっこいいんです!
私の父(七代目中村芝翫)は、「その役のにおいがしなきゃいけない」とよく言っていたのですが、克典さんはまさにそれ。自然体で、役のにおいを感じました。
また、僕は(十八代目中村)勘三郎兄貴と(十代目坂東)三津五郎兄貴みたいなライバル心を持っているような関係ってすてきだと思うんです。
ただ僕はこれまで歌舞伎界に同い年がいなくて…。今は市川中車くんがいるのですが。
今回、克典さんとの共演を通して、同年代でしのぎを削って作品を作っていくのは楽しいなと、感じました。
――刺客を演じられた皆さんは個性豊かな役者さんが揃っていましたが、撮影中にお話ししたことがあれば教えてください。
普段の現場であれば車座になってみんなで「ああでもない、こうでもない」って集まったりするのですが、今回は新型コロナウイルスの影響もあって出番を待っている間はみんなバラバラに過ごしていて…。しゃべるのは控えていましたね。
福士(誠治)くんや神尾(佑)さんにも「何をしているの?」と聞いたら「みんな自分の部屋でご飯を食べたり、飲んだりしているみたいです」と言っていて…。そのくらい今回の現場では交流はなかったのですが、その分劇中では互いに探り合いながらやっていましたね。
――その状況を伺うと、立場の違う者同士が同じ敵を討つためだけに寄せ集められ、互いに探り合いながら過ごしている“刺客たち”とリンクしているような気がします。
そうそう。そんな感じでした。そんな中でも勝野洋さんは隣に居てくださることも多く、自分よりも年上ですので、よく話していました。
また、刺客を集めて話す時は僕が一方的に言葉を発し、みんなが黙って聞くということも多かったので、みんなはどういう思いでいるのかと感じながら芝居をするようにしていました。
――息子である中村福之助さんも刺客のひとりとしてご出演されていましたが、何かお話しされたことはありますか?
僕は役についてなどもあまり指導したりしないんです。完成した作品も一緒に見ましたが、何も言いませんでした。でも自分の立ち回りのシーンなどは感慨深げに見ていましたね。
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