水野美紀、多彩な役を完璧に演じる「最強」と呼ぶに相応しい女優【てれびのスキマ】

2021/03/16 19:01 配信

芸能一般 コラム

水野美紀※2009年ザテレビジョン撮影

「奪い愛、冬」でアドリブ全開の“怪演”女優に


そのきっかけは、「奪い愛、冬」(2017年、テレビ朝日系)への出演だ。鈴木おさむが脚本を手掛けたトンデモ愛憎ドロドロ劇。「産休に入る前の最後の作品。ここからしばらくお休みに入るから、やり切ろうと思った」(「クランクイン!」2019年9月3日) という水野は異常なまでのテンションで熱演。中でも不倫現場に居合わせクローゼットから「ここにいるよ~!」と叫ぶ修羅場シーンは強烈。

好評を得てWEBドラマ「奪い愛、夏」(2019年、ABEMA)では主演を務めた。これらの作品で「見たことのない新しいジャンルのおもしろさを作り上げることができたように思います」(同)と彼女は胸を張る。

「私の芝居のベースは『8時だョ!全員集合』」


「私の芝居のベースは『8時だョ!全員集合』(1969年~1985年、TBS系)です」と彼女は囁(うそぶ)く。現場では水野のアドリブをどんどん足していく。「全員をビビらせたい。驚かせたい。笑わせたい、というモチベーションでやってます」(「オリコンニュース」2019年8月2日)と言うのだ。

「ドラマ24『浦安鉄筋家族』(テレビ東京系)で一家の中で唯一常識側に立ちつつ、ブチ切れるとめちゃくちゃ強い母親を演じているとともに、鈴木おさむ脚本の「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日系)で主人公・アユ(安斉かれん)の歌唱レッスンを担当するカリスマトレーナーとして出演している。まるでコントのようなアクの強いキャラクターで、どう考えても脚本には書いていないだろうというアドリブ全開の怪演を見せつけている。

アクションもコメディもシリアスな演技も完璧にやり切る。水野美紀は「最強」と呼ぶに相応しい女優だ。

文=てれびのスキマ
1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」

※『月刊ザテレビジョン』2020年7月号