「喜劇俳優として日本を代表する1人」(「映画ナタリー」2020年3月1日)
三谷幸喜はそう香取慎吾を讃え、「三木のり平さん以来の逸材」だとか「志村けんさんとかぶる」と絶賛している。
そんな三谷と香取慎吾が組んだのが、Amazon Prime Videoで配信されている「誰かが、見ている」だ。本作はシットコム形式のドラマ。三谷と香取の(というよりも日本のドラマ史全体の中でも)シットコムといえば2002年~2003年の「HR」(フジテレビ系)が思い起こされる。 日本ではなかなか作られることが少ないシットコムだが、香取は「次に何をやりたいか」と三谷に問われ「シットコム!」と即答したのだという。
客前一発本番のコメディという俳優としてはハードルの高い仕事だが、三谷はこうコメントを寄せている。「(香取が演じる)舎人真一君は、ただ生きているだけで面白い。そういうキャラにしたかったのですが、そんな役を演じられる俳優は日本に一体何人いるんだろうと思います。喜劇俳優・香取慎吾の本領発揮です」。
そんな香取のスゴさを示すエピソードを三谷は紹介している。芝居が始まるとシットコムの場合止めることができない。にもかかわらず、三谷は香取にプリンを食べてもらいたいと思い、「食べて」というジェスチャーで指示を送ったというのだ。芝居に集中しているから普通の俳優ではパニックになってしまう。「そんなことができる俳優はまずいない」(「あさイチ」2020年9月4日)と三谷も言うが、香取は三谷からの指示を確認すると、自然にプリンへ手を伸ばし、食べてしまったというのだ。