DISH//の大ヒット曲をドラマ化した「猫」(2020年、テレビ東京ほか)では、小西桜子とともにW主演。脳に腫瘍があり「いつ死んでもおかしくない」というみねこ(小西)を優しく、包み込むように愛する青年・光司を、穏やかに、あたたかく演じた。
みねこを不安にさせまいと明るくふるまう光司。だから第1話ラストで光司が「俺はみねこが死んでも、みねこの思いをちゃんと抱いて生きていく。だから、みねこが死ぬのは怖くないよ。ただ…ただ俺が怖かったのは、俺の思いをみねこに伝えられないことだった」と泣きながら素直な思いを打ち明け、みねこを抱きしめたシーンは、旺志郎の飾らない人柄がそのまま光司と同化したかのようだった。その演技にはリアルな一人の青年の切ない独白を聞いてしまったようなやり切れなさが漂い、見る者の胸を締め付けた。
「おちょやん」で演じる寛治はどうやら天真らんまんな少年のようだが、お調子者の性格にはどこか危なっかしさも感じられる。父親を亡くし、ひとりぼっちになってしまったばかりという寛治だけに、その胸の内には周囲には見せない孤独を抱えているのかもしれない。
そんな寛治とのやり取りに、ふと「子どもいてたら毎日こないなんやろか」という思いに浸る千代。この週のサブタイトルは「お母ちゃんて呼んでみ」。前田旺志郎演じる寛治が千代たちにどんな影響を与えていくのか注目していきたい。(文=ザテレビジョンドラマ部)
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