<試写室>「新しき己のために戦え!」未来を見据える信長(市川海老蔵)と古い考えにとらわれた義元(三上博史)の対比が面白い!「桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜」

2021/03/26 11:00 配信

ドラマ

市川海老蔵演じる信長とは?


「桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜」で市川海老蔵が織田信長を演じる(C)フジテレビ


血しぶき舞う大迫力の合戦シーンは見どころだが、今川軍の先鋒・松平元康(鈴鹿央士)の猛攻を受けた丸根砦の戦いなど、「桶狭間の戦い」に至るまでの織田・今川両軍の課程もしっかり描かれている。さらに、登場人物きっかけで信長とのエピソードが挿入されいく構成は、より作品が楽しめるはずだ。

市川海老蔵演じる信長は、謀反を企てた弟・信勝(馬場徹)にも一切容赦をしない冷徹な顔や義元の策を読み解く策略家としての顔、大うつけと呼ばれているときのコミカルな顔など、その時々に見せる表情の変化が魅力。海老蔵の手によって、カリスマ、リーダー、先進的などのイメージがぎゅっと凝縮され、昇華されている。

帰蝶(後の濃姫)を演じるのは市川ぼたん。佐藤浩市は斎藤道三を熱演する(C)フジテレビ


信長の正室・濃姫(広瀬すず)の父で、マムシと恐れられる美濃を治める戦国大名・斎藤道三(佐藤浩市)と聖徳寺での会見も見どころ。信長を見定めるために射るような視線を送る道三に対し、堂々と見返す信長の目力は圧巻。
とにかく目の演技の応酬がすごいの一言に尽きる。また、濃姫に道三との会見が成功したと無邪気に喜んで報告する信長は、どこかかわいいい。

そんな信長と濃姫のシーンからも一つ紹介したい。信長から、道三が義龍に討たれたという報を聞かされた濃姫は、道三という信長の後ろ盾が失われ、兄が敵に回ったことで「お役に立てぬ身になり申した」と自害しようとする。だが、とっさのところで信長が阻止し、「いずれ美濃も駿河も儂の国にしてみせる。そなたの国じゃ」と抱きしめるシーンは、夫婦の絆を感じられ、ほろりとさせられる。

【写真を見る】斎藤道三が討たれ、自害しようとする濃姫(広瀬すず)を強く抱きしめる信長(市川海老蔵)(C)フジテレビ


また、冒頭の「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」と敦盛を舞うシーンは個人的な必見シーンの一つ。声、表情、雰囲気とどれをとっても鳥肌もので、一気に作品に引き込まれること間違いない。